閉店後のショップの中は静かだった。
カウンター席のひとつに座らされた秋は、足を左右に大きく開かされた。片足はすぐ隣のスツールの上に、もう片方はマリーの腕に引っかけられるような格好で、ゆらゆらと不安定に揺れている。
「マリー先輩、あの……」
恐る恐る口を開くと、マリーのほっそりとした白い指が秋の唇にそっと触れてきた。
「しーっ。ただの風紀検査よ」
そう言うとマリーは、秋の制服のスカートをごさごそとたくしあげる。
「はい、持ってて」
スカートの裾を握らされ、秋は赤面した。
制服の下はショートパンツだ。スカートの下がすーすーして変な感じがするものだから履いてきたのだが、いけなかっただろうか。
ちらりとマリーの顔を見ると、メッとでも言うかのように、軽く睨まれた。
「スカートの下にショートパンツだなんて!」
言いながらマリーの手が、ショートパンツのゴムにかかる。
「この下は、なに?」
艶かしく見つめられ、秋はいっそう困ったように顔を赤らめる。
「し……下着です」
あまりはっきりと尋ねられると恥ずかしい。伏し目がちに秋が視線を落とすと、フリルたっぷりのひらひらしたスカートの向こうにショートパンツが見えた。マリーの手がゴムの部分をぐいぐい引っ張っているから、家を出る時に履いてきたボクサーパンツも見えている。
「だめよ、秋くん」
マリーは猫なで声で言った。
「制服を着るときは下着も女物にしなくちゃ。レースの可愛いのを選んであげるから、今度いっしょに買いにいきましょうね」
うふふっ、とマリーが楽しそうに笑う。ふわりとあたりが華やかな空気に包まれたような感じがして、秋はますます顔を赤くする。
「それにしても、色気も何もないわねえ、これ」
言いながらマリーは秋のショートパンツをぐいぐいと引っ張った。
「やっ……ダメです、マリー先輩。そんなことしたら……」
言いかけて秋ははっと口をつぐんだ。
「そんなことしたら、どうなるのかなぁ〜?」
悪戯っぽく目を細めてマリーは秋の目を覗き込んでくる。
ばつの悪そうな顔をして秋はふい、と顔を背けたが、遅かった。マリーは、秋の下着の下がどんな状態なのか気付いてしまったようだ。
「可愛いなぁ、秋くんは」
うふふ、と笑いながらマリーは秋のショートパンツの上から股間のあたりに触れてきた。
「あっ……!」
ぐり、と秋の硬くなりかけた部分をマリーのてのひらが的確に握り込んでくる。
「スカート捲られて感じちゃった?それとも、このマリーさんに見られて感じちゃった?」
意地の悪い笑みを口許に浮かべたマリーが、尋ねかけてくる。
秋は困ったように顔を赤らめ、目を潤ませるばかりだ。
「ど……どっちも……」
泣きそうになりながらそう返すと、マリーはよくできましたとでも言うかのように、優しく微笑んだ。
「どっちもかあ。素直で可愛いわね、秋くんは」
言いながらもマリーの手は、秋の股間を揉みしだいている。強弱をつけながら竿の部分を擦りあげ、ときどき先端を布越しにぐりぐりと可愛がってくる。
「んっ……や……」
秋の口から、信じられないぐらい甘い声が洩れた。
本来の男の格好の時には出すこともないような、甘ったるい声だ。
マリーはますます嬉しそうに舌舐めずりをした。
「おっきくなったわねえ、秋くん。おまけに、下着の中がドロドロだよ?」
ほんのわずかに嘲笑を含んだ声色で、マリーはそう告げてきた。
「や……言わ、ないでくださ……」
言いかけた秋の唇に、マリーの指が押し当てられた。
「風紀検査が不合格だった秋くんには、たっぷりとお仕置きをしなくちゃね」
マリーはニヤリと笑った。あだっぽい眼差しが秋を捕らえ、じっと見つめてくる。
恥ずかしくなって秋が視線を逸らすと、顎をつかまれた。人差し指でくい、と顎を引かれ、顔が心持ち上向くようにされる。
マリーの綺麗な顔が近付いてきて、鼻と鼻が触れ合うほどの距離まで迫ってきた。
逃げようと後ずさりかけたが、無理だった。スツールに腰かけた秋は大股を広げて座っている上、背後をカウンターに阻まれ、逃げることができないのだ。
「やっぱり可愛いなあ、秋くんは」
そう囁くとマリーはゆっくりと、秋の唇に自身の唇を押し当てていく。柔らかな秋の唇はぷるんとしていて、まるでスイーツのように甘ったるい香りがしている。
ちゅ、と音を立ててマリーは目の前の唇を啄んだ。
秋は抵抗らしい抵抗をすることもなく、「ん」と唇を差し出していく。きっと、自分がキスをしているのだということにも気付いていないのだろう。
「ちょろいなあ」
マリーはそう呟くと、さらに深く秋の唇を貪っり始めた。
舌先がチロチロと秋の唇をつついてくる。くすぐったいようなもどかしいような感じに秋はうっすらと唇を開いた。
あ、と口を開けると同時にマリーの舌が秋の口の中に忍び込んでくる。
「ん……」
くちゅ、と湿った音がして、舌と舌とが絡み合う。滑らかなマリーの舌先が秋の舌を優しくなぞりながら、口の中に溜まっていた唾液ごと吸い上げる。
「んっ、ふ……」
ゾクゾクとするような感じたことのない感覚が秋の体の中にポツポツと込み上げてきて、体が微かに震えた。
「秋くん、怖い?」
唇が離れると、今度は耳元で尋ねられた。
「ん……わかり、ませ……っ」
ひんっ、と秋が声をあげたのは、マリーの手が太股を撫でたからだ。
勃起した性器は下着の中で窮屈そうにしているし、先端は下着から顔を覗かせている。みっともないことこの上ない姿だということは秋自身はっきりとわかっていたが、目の前のこの綺麗な先輩からは逃げることができないのだから仕方がない。
じわりと涙が込み上げてきて、秋の瞳が潤む。すかさずマリーは秋の目尻に浮かんだ涙を唇で拭い取った。
「マリー先輩……」
上擦った声で秋が呟く。
マリーはわずかに笑って、秋の唇をもう一度キスで深く塞いだ。
マリーの手が執拗に秋の先端をなぞってくる。
てのひらで包み込んでくるくると円を描くようにしてなぞられると、秋の腹の底がむずむずとして熱くなってきた。
「や、だ……」
もぞ、と動こうとしたが、マリーの腕にかけられた足に力が入っただけだった。
「嫌じゃないでしょう、秋くん」
マリーの瞳がじっと秋の瞳を覗き込んだ。
「……ホント、食べちゃいたいくらい可愛いね、秋くんは」
マリーの顔が近付いてきて、秋の唇を何度も啄む。その傍らで秋の竿を撫でまわす手が、先っちょの皮を剥き出すようにして竿全体を優しく扱き始めた。
「んっ、ぁ……」
必死になって秋は、マリーの唇を貪った。そうするとマリーは優しくくちづけ返してくれた。 舌と舌とを絡めると、互いの唾液が口の中で混ざり合った。クチュクチュと音を立てながら甘い汁を啜ると、マリーの手はよくできましたと言わんばかりに激しく竿を扱きあげてくる。
「ふ……ぅ……」
口の端から涎がたらりと零れると、マリーの舌がそれを追いかけた。唇から顎へと舌がなぞり下り、制服のボタンを緩めた首筋へと這い降りていく。
「ぁ……」
熱を孕んだ秋の腰のあたりは、じれったそうに揺れていた。マリーの手がもっと気持ちのいいところ触ってくれないかと、卑猥な格好のままでじりじりとさらに足を大きく開いていく。
「また、濡れてきたね」
耳元に唇を寄せたマリーが、竿の根本をきゅっと締め付けながら囁いた。
秋の腹の底がきゅぅぅっ、となって、先端の小さな孔につぷりと透明な滴が込み上げてくる。 「ほら、こんなに盛り上がって、今にも洩らしちゃいそう」
ふふっ、と笑うとマリーの白い指が、浮かび上がった滴を指の腹で押し潰した。にちゃにちゃと音を立てながら先走りを亀頭全体に広げると、尿道口に残った滴を爪の先でほじくり返そうとしてくる。
「ひっぁ……!」
ビクン、と秋の足を大きく揺れた。
体をしならせ、カウンターに背を預けた秋は腰をマリーのほうへ突き出すような姿勢を取った。
「もっと触ってほしいの?」
尋ねられ、秋はふるふると首を横に振る。
マリーの手に触られるのは気持ちよかったが、いけないことのように思われた。自分は男で、マリーも男だ。ショップの制服を着て女の子の格好をしてはいるものの、男二人でこんなことをするだなんて、間違っている。
秋は涙目でマリーを見上げ、唇を震わせた。
「も、や……」
触らないでください、もうこんなことはやめてくださいと言いたかった。
それなのに秋の口から出る言葉は、ひとつとして意味をなさない。
「だ〜めっ」
お仕置きにならないでしょう、とマリーは甘く告げた。
それから秋に見せつけるかのようにして、竿を握る手をゆっくりと上下させる。
先端に浮かんだ滴は次から次へとこみあげてきた。トロリとしたものが竿を伝い、マリーの手によってさらに竿に塗り込められていく。
「あっ、あぁ……」
カウンターに完全に背を預けてしまうと、もっと気持ちよかった。この格好だと、マリーが触れてくる一点に意識を集中することができる。カウンターに肘をつけてしがみつくようにすると、さらに大きく腰を前へと突き出すことができた。
マリーは艶やかな笑みを浮かべた。
「お利口さんね、秋くん」
言いながらマリーの手が秋のショートパンツにかかる。下着ごと一緒にくい、と引っ張られて、ショートパンツを片足だけ脱がされた。もう一方の足はマリーの腕にかかったままだから、膝のあたりにショートパンツと下着が残ったままだ。
「下の毛、まだ生えそろってないんだね」
そう言ってマリーは、秋の陰毛を指で梳いてくる。それから秋の先端にチュ、と唇を押し当てた。悪戯っぽい猫のような眼差しで秋を見つめながら、マリーは竿の先端をチュウチュウと舐め上げる。
「ダメっ……マリー先輩、ダメだか、ら……」
秋の腰がビクビクと小さく跳ねそうになる。
「あぁ……っ」
腹の底でこもった熱がグルグルと渦を巻きながら、出口を求めて彷徨っているような感じがする。
ジュルッ、と卑猥な音をマリーの口が立てる。押し付けた唇が先端に吸い付いて、きゅぅ、と尿道口のあたりを吸い上げる。舌先でぐりぐりと小さな穴をほじくられ、秋は小さな悲鳴を上げながらマリーの口の中に白濁を放っていた。
「ダメ……出ちゃ……!」
ひときわ大きく秋の体が反りかえる。
ビクン、と竿が震えてドクドクと熱が溢れだす。マリーの口の中に全部出すだけの余裕もなく、竿がブルン、と唇の端から飛び出した。
「んぁっ!」
唇から抜け出した竿がピシャリとマリーの頬を軽く打つと、またしても白濁が溢れだす。今度はマリーの口元と頬にドロリとしたものが飛び散った。
「すごぃ……秋くんの、熱くて甘い……」
放心したようにマリーが呟く。
それからふっと猫のように瞳をすっと細めて、マリーは笑った。
(2015.9.13)
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