「あんた、最近太りすぎなんじゃねえの? 少しは痩せろ」
そう言うと同田貫は、このところたるみつつある御手杵の腹の肉を鷲掴みにし、ぎゅっと抓り上げた。
「痛っ……痛い、痛い!」
大袈裟に騒ぎまくって御手杵が声を上げるのをひとしきり眺めてから同田貫は手を離す。
「当分の間、間食はするなよ。あと、手合せと演練回るから覚悟しとけよ」
「ええーっ、そんなぁ……」
非情な同田貫の言葉に、御手杵はがっくりと肩を落とした。
それを見た同田貫は、少しだけ表情を緩める。
「まあ……痩せたら、それなりのご褒美を考えてもいいけどな」
「本当かっ!」
勢い込んで御手杵が尋ねてくるのに同田貫はニヤリと口の端を吊り上げる。
「痩せたらだ、馬鹿。今みたいなだらしのない体型、俺は嫌いなんだよ」
言いながらも同田貫は、目の前の男が自分の言う通りに痩せるだろうことを思って御手杵の腹を拳で軽く突いた。
(2015.4.11)
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