「もう、無理。いっぱいだから……入らないって……」
そう言って御手杵がぐずった声を上げる。
同田貫はニヤリと口の端を吊り上げると、御手杵の膝に手をかける。
「無理ぃ? 馬鹿言ってるんじゃねえよ。まだまだイケるだろ」
同田貫は凶悪な顔つきで笑った。
ギロリと鋭い眼差しで睨み付けられ、御手杵は目尻にうっすらと涙を滲ませる。
無理なものは無理だと言いたかったが、同田貫を前にしては口を閉ざすしかないように思われる。
そもそも今のこの状況を作り出したのは、同田貫本人だ。
いきなり御手杵の部屋にやってきたと思ったら、何も言わずに服を脱ぎ始めたのだ。
「ヤろうぜ」
そんなふうに短絡的な言葉をかけられ、御手杵はただただ戸惑うばかりだった。
とはいえ、断ることができないのもまた事実だった。
少し前から同田貫のことが気にかかってた御手杵には、断る理由がなかった。だが、肌を合わせるという行為がこんなに生々しいものだとは知らなかった。
御手杵の上に馬乗りになった同田貫は、勃起したものに頬をすり寄せ、ひとしきり舐めしゃぶった。その後で自分で後孔を解すと、御手杵の竿を自身の窄まりに押し込もうとしたのだ。
そこで最初の御手杵の言葉に戻る。
「無理だって……だいいち、裂けたらどうすんだよ」
泣きが入った状態で御手杵が訴える。
自分が挿入する側だとしても、やはり相手を傷付けたらどうしようと不安になるものだ。御手杵は困ったように同田貫の顔を覗き込んだ。
「やっぱり、やめよう。こんなことをしたって……お互いに、気持ちがよくなるとは思えない」
自信なさげにそう告げると御手杵は、同田貫の体を押し退けようとする。
「バーカ。無理なわけねえだろ」
同田貫はそう言うと拳を握りしめ、御手杵の頭を勢いよく殴った。
「無理かそうでないかは、俺がわかってるから大丈夫だ。お前はただ、挿れてくれればいんだよ」
そう言われて御手杵は渋々ながら、同田貫のやりたいようにさせてやることにした。
本当に無理なんだけどな──そう言いたいのを、ぐっと堪えて。
(2015.4.15)
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