ゆびきりを、した。
子ども特有の少し甲高い声で、サンジが拍子をつけて歌っている。
「ゆーびきーりげーんまーん……」
小指と小指を絡めて、二人して頭を寄せ合う。
大きくなっても一緒にいようと、約束をした。
幼稚園の園庭から少し奥まったところ、樫木の下で約束を交わした。
「オレたち、おおきくなっても、ずっと、いっしょだからな」
真摯な眼差しで幼いサンジが言う。
ゾロは口を真横に引き結び、難しい顔をして頷いた。
「ウソついたら、ぜったい、ゆるさねえからな」
「おう。ウソは、つかねえ」
ポツリポツリと、ゾロが返した。
耳に痛いほどたくさんのセミの鳴き声と、ジリジリと照りつける太陽の光のせいで、目が眩みそうだった。
ゾロの言葉に、サンジがホッとしたのか、嬉しそうに微笑んだ。色白の肌が、日焼けのせいでほんのりと赤らんでいる。
園舎のほうから、先生やクラスの友達が、口々に二人の名前を呼ぶ声が聞こえてくる。自分たちを捜しているのだと気付いた二人は、慌てて園舎へと続く小道へ顔を向けた。
「はやくもどろう。エースに、きづかれる!」
そう言うとサンジは、絡めていた小指をゾロの指からするりと引き抜き、振り返りもせずに園舎のほうへ駆け出していった。
その場に立ち尽くしたままのゾロは、サンジの白い指が離れていったあとの自分の小指をじっと見つめている。
サンジの手は、白くて、優しい手だった。
手を、鼻先に持っていく。手洗い場の消毒液のにおいがして、ゾロは顔をしかめた。何故かしらサンジの手は、母の手のように、石鹸のいい香りがするのではないかと思ったのだ。
しかしこの消毒石鹸の鼻にツンとくるにおいがサンジの手のにおいなのだと思うと、ゾロの胸の中はなんだかほんわかとして、嬉しくなった。