昼休みの屋上はいつも賑やかだが、今日は特に騒がしかった。
うるさくて仕方がないとばかりに片っ端からガンを飛ばしていたら、後からふらりとやってきたエースに笑われた。まわりの連中が恐がって怯えているぞ、と。
エースと二言、三言、言葉を交わすうちに、ゾロは、屋上の反対側で重箱を広げるサンジの姿に気付いた。
気ぜわしそうに金髪が揺れ、重箱の蓋を開けていく。
遠目に見ると華奢な体つきにしか見えないが、シャツの下にはあれでなかなかしっかりとした筋肉を隠していることをゾロは知っている。
あれは、男、なのだ。そんなことは重々承知している。
幼稚園の頃からずっと一緒で、何をするにもたいてい行動を共にしてきた。
家庭の事情で何度か離れ離れになったこともあったが、いつの間にか、同じ場所に引き寄せられていた。
いつも、そうだった。
屋上の上からちらりと見える風見鶏の頭を眺めながら、ゾロは溜め息をついた。
中学時代、別の学校に通いながらも毎日のように会っていた。通学の電車が一緒だったのだ。だから、そんなにサンジを遠くに感じたことはなかった。あの、事故の日までは。
あの日、ゾロは、サンジと約束をしていた。
風見鶏が見える丘で会うはずだった。
サンジがお手製の弁当を作って来ると言うものだから、ほんのり甘い出汁巻きを入れてくれと、ねだった。
結局、あの時の出汁巻きを食べることは叶わなかった。サンジがいつもの丘でゾロを待っている間、ゾロは血まみれの状態で病院にいたのだから。
もうひとつ、溜息をつく。
同じ学校に通うことになったのはいいが、学年が違うことが今は無性に腹立たしい。
あのまま事故に遭うこともなく進学していたなら、間違いなく自分達は同じ学年で、同じ時間を過ごしていたはずだ。
一年間という時間は決して長くはない。事故の後のリハビリに費やした時間は、一年では足りないぐらいだった。しかし、たかだか一年、自分が学生生活から離れているうちに、サンジは先へと、自分の時間を進めている。あの金髪頭の隣にはこの一年、そばかす面したエースがついていたのだと思うと、悔しくてしかたがない。
初日にサンジと再会してからずっとゾロは、そんなモヤモヤとした気持でいる。
置いて行かれてしまった。
自分ひとりだけが取り残されてしまったような感じがして、たまらなく寂しかった。