改めて天井を眺めると、高くて、この温室がとてつもなく広いことに気付く。
木々が生い茂り花が咲き乱れるその様子に、自然と雲雀の口元に笑みが浮かぶ。
そんな恋人の様子を見て、ディーノも柔らかく微笑む。
「なに笑ってるのさ」
尋ねられて、ディーノは雲雀の頬にキスをした。
「この次は君のほうからイタリアへ訪ねておいで、キョウヤ」
名残惜しそうに頬を指でなぞると、雲雀は少し不機嫌そうにその手を払いのける。
別れの日は、明日に迫っている。
獄寺隼人は少し前に沢田綱吉と一緒に日本へ……並盛へと帰っていった。
雲雀自身がディーノと恋仲になったのは学生の頃だったが、あの二人はつい先日、本当の意味で結ばれたのだと聞いた。
と、いうことは、だ。
あの二人は、このディーノの屋敷で致したということなのだろう。
節操のないのは彼らだけではないだろうが、それにしても、もう少し場所を選んでも良かったのではないだろうか。
雲雀は宙を仰いだ。
ガラス張りの天井の向こうには、空が広がっている。
楽園の空は今日も青く、静かだ。
いつの間にか温室に住み着いた蝶がこここで飛び交い、放し飼いにされた小動物の鳴き声が反響している。
作られた自然の中で、微風が頬をなでていくような感じがして、雲雀はふと、頬に手をあてた。
「物足りない?」
ディーノが尋ねる。
雲雀は目を閉じて、また開ける。
二人だけの世界もたまには悪くない。
「ぜんぜん足りない」
そう言うと雲雀は、ディーノの唇に自身の唇を重ねる。
時間が許す限り一緒にいたいと思うのは、この男だけだ。
「今夜は寝かせてあげないから」
にやりと雲雀が笑うと、ディーノはお手柔らかにと艶やかな笑みを浮かべる。
楽園は静かで、ガラスの向こうの空は青く澄んでいた。
END
(2009.4.17)
(2024.5.9加筆修正)
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