前に抱き合った時と何が違ったのかはわからない。
怪我が治りきっておらず無茶ができない状態だというのに獄寺の体は今回は綱吉を受け入れることができた。
コンドームを装着した性器にローションをたっぷりと塗りこめると、綱吉はゆっくりと挿入を試みた。
胡坐をかいて座った綱吉の上に獄寺が腰を落としたのは、怪我に障らないように二人で試行錯誤した末のことだった。
「無理だと思ったらやめてもいいからね」
そう言った綱吉のこめかみに、うっすらと汗の粒が浮いている。
サイドボードの灯りを消してほしいと言ったのは獄寺だが、消さなくてよかったと小さく笑う。それから綱吉の肩に腕を回すと、こめかみの汗をペロリと舐め取る。
「さっきから何度も言ってますが、やめませんよ」
絶対に、するのだと獄寺は心の中で決心している。
あの時のような残念な気持ちになるのは、もう二度とご免だった。
「じゃあ……嫌だって言ってもやめないから」
獄寺の腰を掴む綱吉の手が、ゆっくりと下へと引きずりおろそうとする。
「ん、ぁ……っ……言いません、からっ!」
逃げるように腰が跳ねて、獄寺はそれを堪えようとして綱吉にしがみついていく。
じわじわと時間をかけて自分で腰を下ろすと、質感のあるものが内壁を広げてくるのが感じられる。
「あ、ぁ……」
ぎゅっとしがみついた獄寺の手が、綱吉の背中に爪を立てる。
「獄寺くん……」
綱吉が名前を呼ぶと、どちらからともなく唇を寄せ合い、キスが始まる。
離れたくない気持ちでいっぱいになって、キスを交わしたまま獄寺は腰を揺らした。綱吉の手が優しく獄寺の体を揺さぶりを加えると、それだけで中が擦れて奥のほうに先端が当たるのが感じられた。
「んっ、ん……ぁ、っ……」
恥ずかしいほど声が出るし、綱吉に扱かれて獄寺の前は先走りでヌルヌルになっていた。先端の割れ目を綱吉の爪が軽く擦るとジンジンとむず痒いような気持ちよさが込み上げてきて、次から次へと新たな白濁が零れてくる。
「ぁ、そこ……」
「ここ?」
「あたっ、て……十代目のが……奥に、当たって、る…からっ……」
掠れた声で獄寺が言うと、綱吉がさらに大きく獄寺の体を揺さぶってくる。
「あっ、あっ……」
ここだろうか、と綱吉がひときわ大きく下から腰を突き上げると、獄寺の背中が大きくのけぞる。
ビクビクと震える獄寺の性器が白濁を噴き上げ、綱吉の腹を精で汚す。
「もうイっちゃったんだ?」
綱吉の腕が獄寺を捕らえて、そっと自らの胸の中へと引き寄せた。
「大丈夫?」
汗で額に張り付いた銀髪をそっと指ですくと、綱吉が尋ねる。
「……大丈夫、です」
答える獄寺の健気さに、綱吉はフッと口元に笑みを浮かべた。
まだ綱吉は達してはいない。綱吉にしてみれば雲雀たちからもらったコンドームを一晩で使い切ってしまっても足りないぐらいだったが、まだ怪我が治りきっていない獄寺に無理をさせるわけにはいかなかった。
綱吉は獄寺の肩口にチュ、と唇を落とす。
「今度は、オレが……」
そう言うと獄寺の体をシーツの上に横たえた。足を抱えるようにすると、綱吉の意図に気付いたのか獄寺はすぐに腰に自身の足を絡みつかせてくる。
「……十代目」
掠れた獄寺の声は艶めいていて、いまや全身で綱吉を誘っている。
「ごめっ、加減できない……かも……」
そう告げると綱吉は、獄寺の腰を掴んでがつがつと自身の腰を押し付けた。
ローションの湿った音と、汗と精のにおいが充満して、獄寺の腹の中にじわじわと熱い塊が込み上げてくる。
さっき達したばかりなのに、綱吉が突き上げるたびに自身の性器が硬く張り詰めていくのが感じられる。
「あっ……あ、ぁ……」
ふるふると小刻みに震えながら快感を堪えていると、唇の隙間から指が差し込まれた。
腰を揺さぶられながら口の中を指で掻き混ぜられると、恥ずかしい声がとめどなく零れる。時折クチュクチュと湿った音も混ざって、獄寺はたまらなくエッチな気分になってくる。
これ以上の恥ずかしい思いはないだろうと思った。
だけど、これ以上に幸せなこともないだろう、と。
「十代目……」
綱吉の体をぎゅっと抱きしめると、獄寺は自ら腰を揺らした。
綱吉の昂りが中で固く膨れ上がると、一層激しく突き上げてくる。
頭の中が真っ白になりそうなぐらい綱吉でいっぱいいっぱいになった獄寺は、もう自分が何を口走っているのか、どんな格好をしているのかもわからない。無我夢中で腰を振り、綱吉にすがりついて声をあげる。
「イく……も、イく……!」
腰を振りながら再び獄寺は、綱吉の腹に白濁を放った。
肩の痛みなどそっちのけで腰をくねらせ、綱吉の昂ぶりに思う存分攻められて、もう何も考えることができない。
「じゅ、だぃ、め……」
ぐりゅんっ、と奥のほうを突き上げられ、獄寺は背をのけぞらせてあられもない声をあげた。
平時ならば恥ずかしくてとても口にできないようなことを言っているということにも気付かず、しがみついた綱吉の背中にいくつもの爪痕を残した。
「オレも、イきそ……」
耳元に綱吉の声が聞こえると同時に、奥のほうをこれまでにないほど激しく突き上げられ、さらに深いところを抉じ開けられるような感じがして……獄寺の意識が途切れ途切れになる。
「あ、あぁ……」
コンドームの薄い膜に包まれた昂ぶりが獄寺の最奥を突き上げた瞬間、綱吉が満足そうに声を上げた。
怪我の痛みも忘れて獄寺は、綱吉をさらに強い力で抱きしめる。
もう、放さないとばかりに互いに抱きしめ合ったまま、二人は同時に達した。
翌日、日本に戻る二人の朝は慌ただしかった。
雲雀が忠告したにみ関わらず盛りすぎた二人は寝坊をし、朝食もそこそこにバタバタとディーノの屋敷を後にする羽目になったのだ。
「忘れ物はないか?」
ディーノに尋ねられ、二人は身の回りの荷物をあたふたと確認しつつ、車に乗り込む。
「ないと思いますけど、もし忘れ物があったら後から送ってください」
真剣な顔つきで綱吉が言えば、雲雀が呆れたように溜息をつく。
「道中、気を付けてな」
ディーノの言葉に綱吉は力強く頷く。
「……世話になったな」
ぶっきらぼうに獄寺が挨拶をすると、綱吉がその頭をガシッと掴んで抑え込む。
「こういう時はありがとうございました、だろ」
車の中から二人揃って「ありがとうございました」と挨拶をすると、ディーノはにこやかに笑って手を振った。
雲雀はというと、二人のことには興味がない様子で、明後日のほうを向いている。
「じゃあ、また」
綱吉の言葉を合図に、車がゆっくりと動き出す。
空港までは、ディーノの部下が送ってくれることになっていた。
「おう、また来いよ」
ディーノと綱吉はかわるがわる声を掛け合う。
「しつこいよ、子どもじゃないんだから」
雲雀がぼそりと言う。
動き出した車の中から獄寺は、三人のそんなやりとりをそっと見守っていた。
「……今度はいつ会えるかな」
そんなふうに呟き、綱吉が正面に向き直る。
獄寺は昨夜の無理がたたったのか、もう既にグロッキー気味だ。
ぐったりと後部シートにもたれて居眠りの体勢に入ると、すぐ隣に座る綱吉の手にそっと指を伸ばす。
獄寺の手に気付いた綱吉が手を伸ばしてきて、指先が触れ合う。
「すぐに会えますよ、きっと」
運転席からは見えない角度で絡めあった指のぬくもりに、獄寺は微かな笑みを浮かべた。
きっと、すぐだ。
END
(2024.5.20)
|