『くちづけのあとは…… 1』



  胸元に降りたサンジの唇は胸の尖塔を軽く甘噛みし、そのまま胸の大傷に沿って臍のあたりまでゆっくりと下降していく。
  脇腹のあたりを通過する時に、ゾロの身体がビクン、と震えると、それに気をよくしたのか、サンジはゾロの腰に手を差し込み、ぐい、と身体を引き寄せた。
  仲間たちはつい先程、下船したばかりだ。戻ってくるのは明日の朝だし、たとえ忘れ物をしたとしても格納庫まで降りてきて二人の様子を覗き見るほど野暮な者はいないはずだ。
  がっしりとして日頃は逞しく見えるうなじがやけに色っぽくて、サンジは衝動的に口付けた。
  指先が触れるか触れないかの動きで、つつっ、と背中を辿って尻の狭間を掠めると、もぞもぞとゾロは腰を捩らせた。そのままサンジは双丘に軽く唇を押し付ける。人差し指と中指とで後孔をするりと撫でると、孔の縁がきゅっ、と収縮した。
「ぁ……う……」
  サンジは舌先で後孔をつついた。舌が触れるたびにゾロの腰が頼りなく揺らぐのが面白くて、何度も何度も舐め上げた。ぺちょり、と水音がして、まるで女の蜜が滴るようにサンジの唾液で溢れかえるころになると、孔はヒクヒクと蠢いてサンジを誘った。二本の指先でこじ開けるようにして内側に触れると、吸い付くように内壁が指を包み込んできた。
「んっ……」
  前立腺の裏側に指の腹でゆるゆると触れると、ゾロはやや腰を持ち上げた。無意識のうちにだろうが、自分の感じるところへサンジの指が当たるように、指の動きに合わせて腰を動かしている。
  ぐい、と指を押し込むと、その瞬間、痛いほどに締め付けられた。
「あうっ……ん、ん……」
  噛み締めた唇の間から、苛ついた掠れた声が洩れてくる。
  気に入らないのは、サンジの愛撫の仕方だ。
  まるでゾロが女であるかのように、傷つけないように抱くそのやり方が、気にくわない。自分は女ではないのに。
  壊れ物のように扱われるのは、ご免だった。



  毛布を敷いただけの床に四つん這いになったゾロは一瞬、四肢をピン、と突っ張って侵入してくる異物感に耐えた。
  バックからサンジは挿入してくる。
「あ、あぁ……っ……!」
  声をあげることでゾロは、挿入の不快感に耐えようとした。
  ガチガチになった一物が、先走りの液で先端をドロドロにしてゾロの中へずるり、ずるりと入り込んでくる。
  根本まで全部入り込むのを待って、ゾロはホッと息をつく。
  口の中に広がっていく鉄の味に、ゾロは自分が唇の端を知らず知らずのうちに歯で噛み切っていたことに気付いた。
  決して、嫌なわけではないのだ。ただ、焦れったいだけ。もどかしいだけ。もっと乱暴に扱ってほしいと思っているのに、サンジはそうはしてくれない。自分を、ナミやロビンと同じ女のように大切に扱おうとするサンジを、ゾロは許せない。サンジのことが好きなだけにゾロには、ひじょうに腹立たしいことだった。
「動けよ……早くっ!」
  口早に言い放つと、ゾロは腰を押し付けていく。
  いつもより乱れているな、とサンジはゾロの尻を眺めた。結合部では、自身の赤黒いものが出入りしている様が見えている。竿についた先走りの液が、まるでゾロの中から自然と溢れてきた女の蜜のように見えないでもない。
  不意に、繋がったままサンジは馬乗りの体勢になり、ゾロの肩口を抱きしめた。
「はっ……あぅ……」
  密着の度合いが増した分、ゾロの締め付けも強くなったようだ。苦しいのだろうか、ゾロは肩で何度も息をしている。
「苦しいのか?」
  と、サンジが尋ねれば、ゾロは首を横に振り、さらに強く腰を押し付けてくる。
「もっと、突いてくれ……もっと、キツク……!」



  今にも泣き出しそうな声でゾロが言うと、サンジはそのまま肩口に回した腕に力を入れた。
  ぐい、と引っ張られるような感覚がして、一瞬、目眩を感じる。
「協力してくれよ、剣士サン」
  耳元でからかうようなサンジの声がした。すぐにサンジのしたいことを察したゾロは、身体を起こしてサンジの膝に跨るような体勢を取った。
「っぁあ……!」
  動いた時の反動で、結合部が収縮を繰り返し、きりきりとサンジを締め付ける。サンジもまた、ゾロの中でドクン、ドクンと脈打っていた。
「動けるか? そのままだと苦しいだろう?」
  耳元で囁かれ、ゾロはぞくりと身体を震わせる。
  サンジの声は低く欲情している。自分と同じようにサンジも苦しいのだと思うと、ゾロの中に愛しさが込み上げてくる。サンジの手を取ると、ゾロは自分の股間へと導いた。
「てめぇの手で、してくれよ。よくしてくれるんだろ?」
  と、もう一方の手を胸に持っていき、サンジを促す。
「ここか?」
  胸の突起をくりくりとサンジの指が転がす。きゅっ、と摘み上げたかと思うと、すかさず押し潰す。弄ばれたゾロの乳首は痛いほどに勃起している。ぷっくりとなった乳輪をざらついた指の腹でなぞられ、ゾロの身体はビクビクと震えた。
「んっ、あ……」
  うなじのあたりを舌先でチロチロとねぶれば、ゾロは首を竦めて逃げを打とうとする。前へ回した腕でそれを抑え込むようにして、サンジは腰を突き上げた。






To be continued
(H16.1.1)



SZ ROOM       1