『寝酒 3』



  ゾロは腰を左右に揺さぶりながら、サンジの乳首をきゅっ、と摘み上げた。
「ああっ……つっ……」
  胸の上まで捲り上げたシャツの下で、緋色のチェリーが息づいている。
「聞いて……んのかよ、クソ野郎…っ……」
  サンジがそう言った瞬間、ゾロは自分のものを根本まで突っ込んだ。
「はぅ……っ!」
  ビクン、とサンジの身体が弓なりにしなる。身体の中心で勃ち上がったものは透明な汁をポタポタと溢れさせている。サンジは自分の後ろの穴がきゅっ、と痛いほど窄まるのを抑えられないでいた。
「ん……はっ、はぁ……」
  テーブルのごつごつとした肌触りが、サンジの意識が飛んでしまいそうになるのを制止している。この痛みがくなくれば、歯止めが利かなくなる。サンジはわざと背中が痛むような体勢を取ると、ゾロのものをさらに身体の奥深くへ飲み込もうとした。



「……腹の上にかけてもいいか?」
  サンジのほっそりとした腰をがっちりと掴み、ゾロは尋ねる。
  弱々しく首を横に振るとサンジは、口元を歪めて笑った。
「中に出せよ、クソ野郎」
  手を伸ばし、緑色の短い髪をきゅっ、と掴んだサンジの限界は近いはずだ。キスをねだるかのように唇を半開きにして見上げると、ゾロが勢いよく唇を合わせてくる。
  サンジは、先刻から腹の間で頼りなくひくついているものに手をやると、自分で扱き始めた。くちゅくちゅと湿った音がする。その音に合わせて、ゾロは腰を揺さぶった。



  サンジの頭の中に火花が飛び散る。
  目を閉じて堪えていると、ちかちかとした赤や白の光が瞼の裏で飛び交い、限界が近いことを教えていた。
  ともすれば意識が飛びそうになりながらも感覚だけはやけに鋭くて、つい不必要な力が身体のそこここに入ってしまう。いっそ、このまま何もかもわからなくなってしまえばと思いながらも、そうはなりたくないという引き裂かれるような甘美な思いにサンジは苛まれる。
「──ぁ…あぁっ!」
  不意にビクン、と身体が大きく仰け反り、片足をゾロの腰に絡めたまま、サンジはイった。
  青臭いにおいのものがサンジの手を汚し、ついで二人の腹を汚した。
  後を追うようにして身体の奥でドクン、とゾロもひときわ大きく脈打った。サンジの内壁がきつく締まると同時に熱い迸りが驚くほどの勢いで内側を満たしていく。
「あ……──」
  納まりきらなかったゾロの迸りが結合部から溢れてきた。きつい酸臭を放ちながらそれらは、テーブルの上にポタポタと水溜まりを作っていく。
  サンジの足が、カクカクと痙攣していた。



  終わってしまえばどうということもない。
  急速に冷めていく心と身体を持て余しながらサンジは着衣を整える。船の中でなければもう少し甘えていることができたのだが、こればかりは仕方がない。普段の、仲間たちと接するときの自分に戻ると、嫌々ながらもゾロに声をかけた。
「いい寝酒になっただろう」
  有無を言わさぬ様子で、サンジはゾロの顔を覗き込む。
「ちゃんと後始末しとけよ」
  言いながらサンジは、ゆったりと煙草を燻らした。
  寝酒が欲しかったのはもしかしたら自分のほうだったのかもしれない──と、そんなふうに胸の内で思いながら吸い込む紫煙は、ほんのりと甘く、そしてほろ苦い味がしていた。



── END ──
(H15.8.23)




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