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ヴァニラリィ

 初夏の風が開け放した窓から吹き込んできた。
 新緑の濃い香りが風に乗って獄寺の部屋に入ってくると、癖のある綱吉の髪をふわん、と揺らして通り過ぎていく。
 床の上に寝転がった綱吉は、顔を赤らめながらも穏やかに微笑んだ。
「ダメっスか?」
 心配そうに顔を覗き込んでくる獄寺の顔がどことなく子どもっぽく見えて、綱吉は笑みを洩らさないようにわざと唇をへの字に歪めなければならなかった。
「今日は、ダメ」

◆獄ツナ短編集/R18
互いに相手のことを意識しながら、少しずつ距離を縮めていくお話。
「ヴァニラよりも甘く」「初恋日和」「甘い微熱」収録。

[オンデマンド/本文40頁]

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商品名
ヴァニラリィ
価格
500円
登録日時
2010/05/10(月)
分類
獄ツナ