胸元に降りたゾロの唇は胸の尖塔を軽く甘噛みし、そのまま臍のあたりまでゆっくりと下降していく。
  脇腹のあたりを通過する時に、サンジの身体がビクン、と震えると、それに気をよくしたのか、ゾロはサンジの腰に手を差し込み、くるりと身体をひっくり返した。
  仲間たちはつい先程、下船したばかりだ。戻ってくるのは明日の朝だし、たとえ忘れ物をしたとしても格納庫まで降りてきて二人の様子を覗き見るほど野暮な者はいないはずだ。
  金髪の間からのぞくサンジの白いうなじが色っぽくて、ゾロは衝動的に口付けた。
  指先が触れるか触れないかの動きで、つつっ、と背中を辿って尻の狭間を掠めると、もぞもぞとサンジは腰を捩らせた。そのままゾロは双丘に軽く唇を押し付ける。人差し指と中指とで後孔をするりと撫でると、孔の縁がきゅっ、と収縮した。
「ぁ……う……」
  ゾロは舌先で後孔をつついた。舌が触れるたびにサンジの腰が頼りなく揺らぐのが面白くて、何度も何度も舐め上げた。ぺちょり、と水音がして、まるで女の蜜が滴るようにゾロの唾液で溢れかえるころになると、孔はヒクヒクと蠢いてゾロを誘った。二本の指先でこじ開けるようにして内側に触れると、吸い付くように内壁が指を包み込んできた。
「んっ……」
  前立腺の裏側に指の腹でゆるゆると触れると、サンジはやや腰を持ち上げた。無意識のうちにだろうが、自分の感じるところへゾロの指が当たるように、指の動きに合わせて腰を動かしている。
  ぐい、と指を押し込むと、その瞬間、痛いほどに締め付けられた。
「ひあっ……ん、ん……クソッ……」
  噛み締めた唇の間から、苛ついた掠れた声が洩れてくる。
  気に入らないのは、ゾロの愛撫の仕方だ。もっと直接的に触って欲しかった。快楽に直結するようなセックスを、サンジは望んでいる。脳までマリモのこの男に、駆け引きのある抱き方はされたくなかった。
  焦らされるのは、ご免だった。



  毛布を敷いただけの床に四つん這いになったサンジは一瞬、四肢をピン、と突っ張って侵入してくる異物感に耐えた。
  バックからゾロは挿入してくる。
「あ、あぁ……っ……！」
  声をあげることでサンジは、挿入の不快感に耐えようとした。
  ガチガチになった一物が、先走りの液で先端をドロドロにしてサンジの中へずるり、ずるりと入り込んでくる。
  根本まで全部入り込むのを待って、サンジはホッと息をつく。
  口の中に広がっていく鉄の味に、サンジは自分が唇の端を知らず知らずのうちに歯で噛み切っていたことに気付いた。
  決して、嫌なわけではないのだ。ただ、焦れったいだけ。もどかしいだけ。もっと乱暴に扱ってほしいと思っているのに、ゾロはそうはしてくれない。おそらくそれはゾロの性格からくるものなのだろうが、わかっているだけに腹立たしく思うことが多々あった。
「動けよ……クソッ……」
  口早に言い放つと、サンジは腰を押し付けてくる。
  いつもより乱れているな、とゾロはサンジの尻を眺める。結合部では、自身の赤黒いものが出入りしている様が見えている。竿についた先走りの液が、まるでサンジの中から自然と溢れてきた女の蜜のように見えないでもない。
  不意に、繋がったままゾロは馬乗りの体勢になり、サンジの肩口を抱きしめた。サンジの背に当たっているのは、ゾロの胸の大傷の名残だろう。
「はっ……あぅ……」
  密着の度合いが増した分、サンジの締め付けも強くなったようだ。苦しいのだろうか、サンジは肩で何度も息をしている。
「苦しいか？」
  と、ゾロが尋ねれば、サンジは首を横に振り、さらに強く腰を押し付けてくる。
「奥まで……奥まで、突いてくれ……も、待てねぇ……！」



  今にも泣き出しそうな声でサンジが言うと、ゾロはそのまま肩口に回した腕に力を入れた。
  ぐい、と引っ張られるような感覚がして、一瞬、浮遊感を感じる。気付くとサンジの身体はゾロの膝に跨るような体勢を取らされていた。
「っぁあ……！」
  結合部が収縮を繰り返し、きりきりとゾロを締め付ける。ゾロもまた、サンジの中でドクン、ドクンと脈打っていた。
「お前も動け。そのままだと苦しいだけだろう」
  耳元で囁かれ、サンジはぞくりと身体を震わせる。
  ゾロの声は低く欲情している。自分と同じようにゾロも苦しいのだと思うと、サンジの中に愛しさが込み上げてくる。ゾロの手を取ると、サンジは自分の股間へと導いた。
「……ここと……こっち……」
  と、もう一方の手を胸に持っていき、ゾロを促す。
「ん、ここか？」
  胸の突起をくりくりとゾロの指が転がす。きゅっ、と摘み上げたかと思うと、すかさず押し潰す。弄ばれたサンジの乳首は痛いほどに勃起している。ぷっくりとなった乳輪をざらついた指の腹でなぞられ、サンジの身体はビクビクと震えた。
「んっ、あ……」
  うなじのあたりを舌先でチロチロとねぶれば、サンジは首を竦めて逃げを打とうとする。前へ回した腕でそれを抑え込むようにして、ゾロは腰を突き上げた。