「ヴァンピーロ」

「お前が……お前が、近ごろ世間を騒がせているヴァンピーロなのか?」
  眉間に皺を寄せ、Gは低くひとりごちる。
  口許に艶のある笑みを浮かべたジョットはゆっくりとGの傍らに寄り添うと、腰を引き寄せた。
「いかにも」
  しかつめらしく頷き、素早くGの唇を奪う。微風のように軽く唇を合わせたかと思うと、ついでGの白い首筋に剥き出した犬歯を突き立てる。
「ん、ぁっ……」
  ピクリとGの身体が震えた。
  皮膚を突き破る牙の熱さと、血液を吸い上げられ、次第に身体が麻痺していくような冷ややかな感覚に思わずGは女のような喘ぎ声をあげていた。



(2017.10.11)



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