貴方はなんかかきたいと思ったら『左手の指輪をうっとり見つめている(カプ名)』をかいてみましょう。幸せにしてあげてください。
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「薬指の煌めき」

  行きつけのバーのドアを開けると、心地好い微かな喧騒と酒の匂が漂ってくる。
  ぐるりとあたりを見回してからジョットはカウンター席へと足を向ける。
  待ち人は既にジョットよりも先に店に到着していた。カウンターの真ん中に陣取ったGは、黙々とアルコールを飲み干しているところだ。
「待たせたな」
  声をかけ、するりと隣のスツールにジョットも腰を下ろす。
「待ってなんかねえよ」
  はすっぱな言葉が出るということは、随分とアルコールが入っているらしい。ジョットは軽く肩を竦めると、待ちくたびれたらしい連れに笑いかけた。
「放っておいて悪かった。これで機嫌を直せ」
  そう言うとジョットはコートの内ポケットから小さな箱を取り出した。
「大目に見ろ、お前のために用意したんだ」
  ジョットは手にした小箱をすっと滑らせ、Gの手元へ押しやる。 小箱がカウンターを滑る音に、Gはのろのろと視線を向けた。
「なんだ?」
  怪訝そうに小箱を見つめる恋人に、ジョットはさらに笑みを向ける。
「お前の左手で、これが煌めいているところを見たくてな」
  アマレットをちびりちびりと舐めながらジョットは告げた。
「はあ?」
  怪訝そうなGの表情が、小箱の中身を目にした途端にふっと崩れて優しい表情へと変わっていく。
「……意味をわかって言っているのか?」
  確かめるようなGの言葉に、ジョットは重々しく頷く。
「ボンゴレの血が尽きるその日まで、共にいてくれるか?」
  低く艶やかな声で囁かれ、思わずGはまじまじとジョットの顔を見つめ返してしまう。
「返事は?」
  重ねて尋ねられ、Gは口元に柔らかな笑みを浮かべる。
「もちろん。ああ、もちろんだ」
  そう言うとGは、小箱の中で煌めくほっそりとしたリングを大事そうに自身の目の前に掲げる。
  穏やかな瞳はいつまでも熱心にリングを見つめていた。



(2017.11.25)



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