密室で愛して

  夕暮れの商店街を獄寺は、足早に歩いていく。
  数メートル後から綱吉がついてきていることは承知の上だった。
  そろそろ仕事を終えて帰途につくサラリーマンやOLの波を掻き分け、獄寺は商店街からひとつ外れた通りへと入っていく。
  この先の路地は暗がりが多く、人の通りも少ない。
  まだ、綱吉は獄寺の後をついてきている。
  ちらりと後ろを振り返り、綱吉の姿を目の端に確認すると獄寺は、通りの奥にある雑居ビルへと歩を進める。
  一階には怪しげなレンタルショップが入り、二階部分にはカラオケボックスが入るのみの雑居ビルには、あまり人が来ない。いつ来てもひっそりしている。ただ、夕方から夜にかけては学生や仕事帰りのサラリーマンなどがやってきてはカラオケボックスを利用しているようで、そういう時は微かなざわめきが聞こえてくることもあった。
  獄寺がこのビルを気に入っているのは、人があまりいないからだ。
  元々ここは、ビルの管理自体がいい加減なところらしい。一歩ビルの中に足を踏み入れただけで煙草と尿と何かが入り交じったような悪臭が鼻をついた。
  ゆっくりと階段を上がりながら獄寺は、綱吉が後をついてきていることを何度も確かめる。
  二階に辿り着くと、通路の突き当たりのトイレへと真っ直ぐに向かう。
  奥のほうに設置されたトイレのドアはベニヤ板で補修され、壊れたドアノブがガムテープで固定されているだけで一向に直される気配もない。
  そんな治安の悪そうな場所だからだろうか、同い年の連中が来るはずもなく、最近では獄寺にとってはここが秘密の場所となっていた。
  壊れたノブに手をかけ、ドアを押すと、ギイー、と蝶番が軋む。綱吉の姿がちらりと目の端に映るのを確かめてから、獄寺はトイレに入る。
  ツン、と鼻をつく生臭いにおいに、獄寺は微かに顔をしかめる。喫煙所かわりに使う輩がいるのか、煙草のヤニ臭いにおいがあたりには充満している。それから尿と、青臭いなにかのにおいだ。
  個室に入ると獄寺は、ドアを閉める。それから鍵をかけた。
  洋式トイレの蓋の上に腰をおろし、スラックスの前を開ける。下着の中から性器を取り出すと、ここへくるまでの間にほんのりと硬くなりかけていたらしく、芯を持っていた。
  てのひらで包んで何度か扱いているうちに、ドアの開く音がする。綱吉がようやく追いついたらしい。
「……獄寺君?」
  ぼそぼそと控え目な綱吉の声が聞こえる。
  獄寺は黙って自身の竿を扱き続けた。
  空いているほうの手で竿の根本を弄ったり、親指の腹に唾液をまぶして先端の尿道口に塗り込めたりしているうちに、クチュクチュと湿った音が混じり出す。
「……っ」
  声が洩れそうになるのを、唇を噛んで堪える。
  自然と鼻息が荒くなり、時折、はっ、はっ、と息を吐き出す。
  ドアの向こうで戸惑うような綱吉の声がまた、した。
「獄寺君、いるんだろ? 具合でも悪い?」
  トン、と音がした。ドアに綱吉の手が当てられたのだろうか、獄寺は一瞬、息を殺した。
「ねえ……返事しなよ、獄寺君」
  心配したような綱吉の声に、獄寺は手の中に握りしめた性器がいっそう硬くなるのを感じた。
「……ん」
  はあっ、と息を吐き出し、獄寺はドアを見据える。
「十代目……」
  囁くように出した声は、掠れていた。
「獄寺君、大丈夫?」
  心配されているのだと思うと、それだけで嬉しかった。綱吉が自分のことを気にかけてくれている。そう思っただけで体温が上昇して、体が熱くなっていく。
「十代目、そこに……いて、ください」
  その場所で、自分のしていることを全身で感じ取って欲しいと獄寺は思った。
  今、自分がしていることを、知って欲しい。聞いて欲しい。そして……できることなら、綱吉に見て欲しい。
「ドア、開けてくれる? 具合が悪いのなら……」
  綱吉が言いかけるのに、獄寺は「ダメです」とやや強い調子で返した。
「十代目は、そこにいてください。そこで、待っててください」
  獄寺の言葉に、ドアの向こうの綱吉は戸惑いを感じたようだった。それでも、「わかった」と返してくれる。
  獄寺はいったん自分の性器から手を離すと、個室のドアの鍵を開ける。
「まだ、ドアは開けないでください、十代目」
  そう告げた獄寺の声は、微かに震えていた。



「本当に大丈夫なの、獄寺君?」
  綱吉の声には不安が混じっている。
  獄寺は立ち上がってドアに額をぴたりと寄せた。
「大丈夫っス、十代目。それより十代目、今から俺がすること、ここで見ててもらってもいいっスか?」
  まだドアを開ける勇気はなかったが、綱吉ならきっと、気配でだいたいのことは理解してくれるだろう。
「オレは、ここで獄寺君を待っていればいいのかな?」
  尋ねられ、獄寺は「はい」と微かな声で囁き返す。
「待っててください。十代目に、俺のことをもっと知っていただきたいんです」
  おそらく綱吉なら、獄寺がこれからしようとしていることをわかってくれるはずだ。どんなふうに獄寺が綱吉のことを想っているか、どんなふうに見ているのか、きっと……。
「いいよ。オレ、待ってるから」
  綱吉の言葉に獄寺はホッと溜息をついた。
  それからゆっくりと便器の蓋に腰を下ろし直すと、またしても自分の性器に手を伸ばす。
「……俺、十代目のことを考えると、体が熱くなるんです」
  先走りが滲み始めていた先端をてのひらで包んで擦ると、さざ波のような快感が獄寺の腰から全身へと走った。
「好き……なんです、十代目のことが」
  もしかしたら一過性のものかもしれないと、相談に乗ってもらったシャマルからは言われている。だが、獄寺自身はそうは思っていない。綱吉への気持ちは本物だと、獄寺はそう確信している。
「オレのことが、好き?」
  ドアの向こうから、綱吉が返してくる。
「そうです」
「どんなふうに?」
  尋ねられて、獄寺は息を飲んだ。
「体が熱くなるって、どんな感じ? どんなふうにしたらそうなるのか、教えてくれる?」
  やわらかな言い方だが、拒むことのできない何かがそこにはある。獄寺は自分の手の中に包み込んだ性器をちらりと見て、それからドアへと視線を向けた。
「十代目のことを考えると……その、腹の底がムズムズして……あの、勃ってしまうンす」
  言いながら、張り詰めた性器の先端にぷくりと先走りが滲み上がってくる。それを指で掬うと獄寺は、自分の口に運んだ。ペロリと指先を舐めると、しょっぱかった。
「今……何やってんの、獄寺君」
  ドアの向こうから綱吉が尋ねかけてくる。
  獄寺は口の中に指を入れたままだ。
「ん、っ……指……舐め……舐めて、ます……」
  クチュ、と音を立てて指を舐める。自分の精液の味はしょっぱくて、少し青臭い。それを獄寺は、舐めているのだ。
「もう、勃ってるんだ」
  ドアの向こうの綱吉の声が、熱を帯びたような気がする。
  自分の指をベロベロと舐めていた獄寺は、唾液で湿った手をまたもや自身の性器へと向かわせた。濡れた指で性器の先端に触れると、ぬるりとぬめった部分が湿った音を立てた。先走りと唾液とを混ぜ合わせて、淫猥な音を響かせる。
「聞……十代目、音、聞こえ……ます、か?」
  指を大きく動かすと、チュク、チュク、と音があがる。先走りが泡立って、竿全体がヒクついている。
「……うん。すごく、いやらしい音がしてる」
  先走りが溢れて竿を伝い落ちるのに合わせて指を這わせる。ヌルヌルとした先走りを竿に塗り込め、さらにいやらしい音を立てる。
  いつしか獄寺の口はだらしなく開け放たれ、荒い息の合間に甘えるような鼻にかかった声が洩れ始めた。



  じっとドアを見据えたまま獄寺は、マスターベーションを続けた。
  右手は先走りでドロドロに濡れていた。
  ギィ、とドアが軋んだが、獄寺の思考は鈍っており、それが何を意味しているのか考えることができない。
「あっ……ん、ん、ぁ……」
  片手で便器の蓋にしがみつき、やや腰を前へと突き出すような格好のまま獄寺は、夢中になって性器を扱き続ける。
「あ……っ」
  トロトロと零れる先走りが陰毛や玉袋を濡らし、着ているものまでも汚していく。
「ん、ふ……」
  熱の塊が血管の中を駆け巡るような強烈な感覚に、獄寺は思わず目を閉じた。だらしなく開けた口の端から、涎がたらりと伝い落ちる。
「も、イキそうだね、獄寺君」
  不意に獄寺の耳元で声がした。
  目を開けると、綱吉が間近で獄寺の痴態を見つめていた。
「あ……じゅぅ、だ……」
  ふっ、と綱吉の吐息が獄寺の耳元にかけられる。ゾクリと獄寺の産毛が総毛立ち、その瞬間、自身の手の中に白濁が放たれた。ビクン、と体を大きく震わせて獄寺は達した。大きく二度、三度と体を震わせ、息をつく姿を見て、綱吉が微かに笑った。
「気持ちよかった?」
  綱吉の手が、白濁でドロドロになった獄寺の手に触れる。その手を綱吉は自分の口元へと持っていき、ペロリと舐める。指先から指の間、てのひらへと舌を這わせて、獄寺の白濁を丁寧に舐め取っていく。
「っ……」
  ピチャリと音がして、獄寺は居たたまれないような気持ちになった。自身の放ったものを綱吉が、舐め清めてくれたのだ。自分はなんてことを綱吉にさせてしまったのだろう。
「……もしかして、まだ足りない?」
  綱吉は目を細めると、獄寺を見つめた。
  冷たい眼差しの奥にはしかし、欲望の炎が灯っている。綱吉に舐められたてのひらが、指先が、熱かった。
「ここ……」
  と、綱吉の指先が、獄寺の性器の先端をぐり、と押す。
「ひぅっ!」
  声を上げると綱吉の指が、さらに強い力で先端をぐりぐりと擦ってくる。
「やっ……」
  達したばかりで敏感な部分を嬲られ、獄寺は腰をもぞもぞと動かした。居心地が悪かったし、何より、綱吉の指に触られるとそれだけでまたしても体が熱を帯びそうな感じがする。
「だめ? また硬くなってんのに?」
  言いながら綱吉は、獄寺の竿を片手できゅっと握り込んだ。
「ほら、また濡れてきて……」
  竿を握る手を上下させると、あっと言う間に獄寺の性器が硬度を取り戻していく。張り詰めた竿の先端、割れ目の部分に新たな先走りを滲ませる。
「素直だね、獄寺君は」
  綱吉は顔を下げると獄寺の性器に唇を寄せた。先端に舌を這わせ、ペロリと舐める。それから亀頭を舌でベロリとねぶりながら、口の中へゆっくりとおさめていく。ズ、ズ、と獄寺の竿が飲み込まれていく。
「あ、ぁ……」
  身じろいだ獄寺の片足を、綱吉の腕が掴んだ。膝の裏に腕を差し込み、ぐい、と足を広げさせられたかと思うと、もう獄寺は逃げられなくなっていた。
「ん、ぁ……」
  じゅぷっ、と音を立てて竿を舐められる。
  初めて感じる綱吉の舌は、ざらざらとして熱かった。恥ずかしい音を立てながら亀頭を吸われ、獄寺は腰を小刻みに震わせた。残されたもう片方の足は、縋る物を探して爪先で床を蹴る。
  綱吉は喉の奥深くまで獄寺の竿を飲み込み、散々舐め回した。舌を絡めたり、吸い上げたりして、獄寺を翻弄する。玉袋を揉みしだかれ、獄寺は嬌声を上げ続けた。
  頭の中が真っ白になって、スパークしそうだ。
  便器の蓋をきつく掴んだまま獄寺は、もう一方の手で綱吉の肩に縋りつく。
「じゅ、だ……じゅぅ……」
  舌の回らない口調で何度も綱吉を呼んだ。
「も、や……ぁ」
  床を蹴った獄寺の足がピン、と伸びた。
  綱吉の口の中に獄寺は白濁を放った。腹の底から搾り取られるような激しい勢いの射精感がいつになく気持ちよく、また恐くもあった。
  ビクン、ビクン、と震える獄寺の腰を、綱吉の力強い腕が抱きしめてくる。
「十代目……」
  掠れた声で綱吉を呼ぶと、彼は顔を上げ、獄寺にキスをした。
  クチュ、と音がして獄寺の口の中に舌が差し込まれたかと思うと、綱吉の唾液と、それから今しがた自分が放ったばかりの青臭い精液が口移しに流し込まれる。



  苦げぇ、と獄寺は掠れた声で呟いた。
  耳元で綱吉が笑ったような気がする。
「もっと、気持ちよくなりたい?」
  尋ねかけてくる綱吉の言葉に、獄寺は素直に頷いた。
  綱吉の体がすっと離れていき、開け放たれたままだった個室のドアを閉め、鍵をかける。
  向き直った綱吉の手が獄寺の体を立ち上がらせたかと思うと、くるりと体を反転させられた。便器の蓋に膝をつかされ、獄寺はわずかながら戸惑いを感じる。
「手、壁について」
  静かな綱吉の声に、獄寺はただただ従順に従うばかりだ。綱吉の命令なら、何だって獄寺は聞くだろう。
  獄寺が壁に手をつくと、すぐさま綱吉の手がシャツをたくし上げてくる。太股のあたりでもたついているスラックスが獄寺の動きを制限して、身動きを取りにくくしている。
「……乳首も勃ってる」
  肌をなぞり、乳首をきゅっとつまみ上げると綱吉が囁く。すでに硬くなっていた胸の先を痛いぐらいにこねくり回され、獄寺は悲鳴のような声を上げた。
「しーっ。誰か来たらどうすんのさ、獄寺君」
  わざとしているのか、綱吉は獄寺の乳首を爪の先で嬲る。意地の悪い指の動きに獄寺の腰がもぞ、と揺れる。
「やっ……」
  体を捩ろうとすると、腰が動く。腰が動くと、綱吉の腰に尻が当たる。そのうちに獄寺は、綱吉の股間が硬くなっていることに気づいた。
「じゅ……じゅ、だ……」
  ぐい、と大きく尻を突き出すと、綱吉の股間が押しつけられる。やはり硬い。
  獄寺の動きに気づいた綱吉の手が、焦らすように肌をなぞり、尻へと辿り着く。片手はまだ乳首を弄んでいる。
「ここ……ヒクヒクしてるよ、獄寺君」
  ヒタ、と綱吉の指が押し当てられたのは、獄寺の後孔だ。窄まった部分の皺を伸ばすかのように指の腹でなぞりながら綱吉は、獄寺の様子を楽しんでいる。
「ん……っ」
  逃げようとすると、乳首をきゅっと抓られた。
「濡らしてあげるから、じっとして」
  そう言うが早いか、綱吉は獄寺から身を離した。ついで両手で獄寺の腰をぐい、と固定する。
「なっ……十だ、っ……」
  綱吉の手を振り解こうとするよりも早く、何かが獄寺の窄まりに触れていた。ヌルリとしてあたたかい綱吉の舌が、獄寺の後孔を舐めている。ざり、と襞を舐め上げられると、獄寺の腹の底がジリジリと熱くなってくる。舌先でチロチロと窄まった襞の中をまさぐられるだけで、獄寺の性器はまたしても硬くなってきた。
  ヌルヌルと舌が行き交い、すっかり後孔が濡れそぼると綱吉は顔を離す。カチャカチャとベルトのバックルを外す音がして、すぐにかわりのものが後孔へと押し当てられた。
  獄寺は小さく息を飲んだ。



  ゆっくりと綱吉が腰を押し進めてくるのに、獄寺は喉の奥で低く呻いた。
  綱吉のものは熱くて、硬くて、大きかった。ズブズブと押し込まれる楔に、獄寺は身を引き裂かれるような痛みを覚えた。そのくせ、体は高ぶったままだ。張り詰めた獄寺の性器は先走りをたらたらと零して、綱吉に穿たれることを歓んでいるようにも思える。
「あ……ああ、ぁ……」
  声を上げると、その声に呼応するかのようにズン、と綱吉の性器が獄寺の奥を突き上げた。
「……全部、入ったよ」
  そう言うと綱吉は、獄寺の手を取って結合部を確かめさせる。
  恥ずかしかった。自分の指で綱吉の性器と繋がった場所に触れると、後孔が収縮するのがはっきりと感じられた。
「すご……獄寺君、きゅうきゅうなってるよ、ここ。中も締まってて、すごくキツイ」
  はあ、と熱い吐息と共に綱吉に告げられ、獄寺はゾクリと背筋を震わせた。
「う……動いて、十代目……動いてくださ……」
  腰を揺らして続きをねだると、背後の綱吉の息が荒くなる。
「イキたい?」
  耳たぶを掠める綱吉の囁きにすら獄寺は、感じてしまう。体の奥が切ない疼きを訴えてきて、はしたないとはわかっていても、つい腰をくねらせてしまう。
「イキ、た……」
  ポタリ、ポタリ、と先走りが便器の蓋の上に滴り落ちる。
「オレも、獄寺君の中でイキたい」
  そう囁くと綱吉は、大きく腰を打ちつけ始めた。
  綱吉の手に固定された腰が、道具になってしまったような感じがする。綱吉の楔を受け止め、中を掻き混ぜられるための道具だ。内壁を擦られ、奥を突かれ、ただ綱吉を満足させるためだけに存在する、そんな道具として自分はここにいる。
「もっと……十代目、もっと……」
  背を逸らして尻を綱吉のほうへと突き出すと、腰骨が当たった。腰を打ちつける綱吉の動きが次第に早くなっていき、獄寺の中を激しく混ぜ返す。グチュグチュと淫猥な音がして、痛いぐらいに奥を抉りにかかられ、獄寺は身悶えた。
「ひ、ぁぁ……!」
  壁に爪を立てて獄寺はイッた。ビクン、と大きく震えると同時に、個室の壁に獄寺の白濁が飛び散る。ついで腹の奥底を、綱吉の迸りがしとどに濡らしていく。
  震えながら獄寺は綱吉の白濁を搾り取るように、後孔を収縮させた。
「ん、ん……ぅ、ふぅ……」
  壁についていた手が滑り、獄寺の体が傾ぐのを綱吉の腕が抱き留める。
「獄寺君の中、ぐちょぐちょになってるね」
  ズル、と綱吉が竿を抜くと、窄まった襞の奥から白濁が洩れだしてきた。ドロリとしたものが太股を伝い下りていく。
「や……」
  ブルッと獄寺は体をくねらせた。ポタポタと音を立てて、便器の蓋に綱吉の放ったものが零れ落ちた。
「気持ちよさそうだね、獄寺君」
  自分の衣服を整えながら、もう一回、する? と、綱吉が尋ねかけてくる。
  獄寺は小さく頷くと、綱吉のほうへと向き直った。



(2014.4.11)


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