カラリと晴れた夏祭りの夜の空気は、参道の両脇にずらりと並んだ屋台から漂ってくる様々な食べ物のにおいで溢れ返っていた。 隣を歩く恋人を見ればイカ焼きとリンゴ飴、ラムネを手にしてにこにこと笑っている。 「楽しいね」 声をかけると獄寺くんは満面の笑みをこちらへ向けてきた。 「はいっ、本当に」 そう言った瞬間の彼の表情がやけに綺麗に見えて、同時にやましい気持ちを見透かされそうな気がしてオレは、内心ドギマギしたのだった。