「おはようございます十代目。お鞄お持ちしましょうか」
しゃちほこばった顔で獄寺くんが朝の挨拶をしてくるものだから、オレはいつも少しだけ困ってしまう。
引きこもりで投稿拒否を繰り返していたオレが今、学校に通えているのは獄寺くんのおかげ……かも、しれない。
「いいよ、自分で持つから」
そう言って取り上げられそうになっていた鞄を引き寄せると、強い力で鞄を奪い取られる。
「照れ屋さんっスね、十代目は」
お持ちしますよ、とあっという間に鞄を取り上げられ、オレは今日も手ぶらで登校するはめになる。
恥ずかしい。なのに強面の獄寺くんに文句を言いながらオレは学校へ向かう
そんな日々が今は何故だかとても楽しく感じられる。
鞄様々?
それとも、獄寺くん様々?
自分の鞄とオレの鞄を軽々と肩にかけ、獄寺くんは楽しそうに歩いている。
聞こえないようにオレは、こっそり「ありがとう」と呟いた。
(2017.8.23)
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