厳かなオルガンの調べに包まれて、タキシード姿の二人が教会の通路をゆっくりと進んでいく。
二人きりの結婚式を挙げようと言い出したのは、綱吉だ。獄寺は最後まで式を挙げることによい顔をしなかったのだが、綱吉に説得される形でこの場に立っていた。
「柄じゃねぇんスよ」
不本意そうにぽそりと獄寺が呟くと、隣に立つ綱吉が「まだ言ってる」と、不服そうに唇を尖らせる。
「だって、」
獄寺が言いかけるのを遮るように、目の前の神父が咳払いをした。慌てて二人して取り繕った表情をすると、しゃちほこばって立ち尽くす。
「病めるときも……」
低くくぐもった神父の言葉に、獄寺の目尻にうっすらと涙が浮かびあがる。
「泣いてるの?」
そっと声をかけられ、獄寺は小さく首を横に振った。
こんな日ぐらい、素直になればいいのに。綱吉は、口許に微かな笑みを浮かべる。
パートナーとして、愛する人と共に人生を誓い合うことの幸せを噛み締める青年は、いつになく精悍な顔立ちで隣に立つ男を見つめていた。
(2017.8.14)
(2017.12.29改稿)
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