『懲りない二人 4』
ぐったりとなっているところを激しく揺さぶられ、サンジは抵抗らしい抵抗もできないまま、ゾロの迸りを体内に受けた。
ゾロの精液は熱くて、勢いがあった。
身体の中に収まりきらず、接合部からおびただしい量の精液が溢れてくるほどだった。
はっ、はっ、とゾロの荒い息がサンジの首筋にかかっている。
その瞬間、サンジはこの男のことを愛しいと思った。
愛でもなく、恋でもなく、明らかに自分たちの関係は恋愛感情とはかけ離れたところにあると思っていた。しかしそんな関係でも相手のことを愛しいと……そう、思うことがあるのだと、サンジはふと気付いた。
何と呼べばいいのだろうか、この感情は。
そんなことを考えながらサンジは、ゾロにもたれかかる。
ゾロが、ぎゅっ、とサンジの身体を抱きしめてきた。
「お前……俺のことが、好きか?」
掠れてざらざらとした声で、ゾロが訊いた。
「馬鹿野郎、そんなこと言えるわけねぇだろっ!」
口ではそう素っ気なく言いながらもサンジは、ゾロの腕にしっかりとつかまっていく。
背後でゾロが、低く笑っているのが感じられた。
翌日、陽が高くなってから二人はゴーイング・メリー号へと戻っていった。
船上では何事もなかったかのように皆が二人を迎えてくれた。
「あら。おかえりなさい、お二人さん」
しれっとした顔つきでロビンが言うと、ゾロは苦虫を噛み潰したかのような表情で彼女を睨み付けた。
「てめぇら、くだらんことばっかしてんじゃねぇよ」
そう言うとゾロは、迎えてくれるクルー全員を牽制するつもりなのか、順繰りに顔を見た。これで効果があるのはウソップとチョッパーぐらいのものだったが、しないよりはマシだろう。
一方、ナミとロビンは顔色一つかえることなく平常を装っている。
「何のことかしら?」
にやりと口元に笑みを浮かべ、返してきたのはナミだ。
「残念だけど、あたしたち、何のことだかさっぱりわかんないのよね」
とぼけるポーズもナミは板に付いている。ゾロの目が剣呑な光を放っても、肝が据わっているのか、ナミは一歩も引こうとしない。
「……言ってろ、ったく」
はなから相手にする気はなかったのか、ゾロはそう言うと甲板の指定席にどすん、と腰を下ろした。
「いやだ。帰ってきたと思ったら、すぐにこれなんだから。まったく男って奴は、もうっ……」
ぶつぶつと文句を言うナミの声を子守歌に、すぐさまゾロは眠りの世界へと落ちていく。
かしましい女共のお喋りから逃れるには、これがいちばんだ。
後に残ったサンジが女共の餌食になることは明らかだったが、自分が標的にされないためにはこれがいちばん手っ取り早いのだから仕方がない。
船の手摺りに身体をもたせかけたゾロは、後頭部に手をやった。
頬に当たる風が、心地よかった。
END
(H15.12.27)
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