慎重にジョットは、腰をゆっくりとGの上へと下ろしていく。唇を噛み締めて、じっとGの肩口を見つめる瞳はどこかしら獰猛で、色めいている。肩に掴まればいいのにとGは思う。自分の体にしがみついて、身も世もなくあられもない声を恋人があげてくれればいいのに、と。
躊躇うことなくジョットの手が、Gのペニスを片手で支えた。ジョットの唾液と先走りとでドロドロになって待ちかまえていたものを、熱く熟れた襞がゆっくりと飲み込んでいく。
「く……っ」
眉間に皺を寄せるジョットが愛しくて、Gはやんわりと窄まりを突き上げた。Gの動きを受けてベッドのスプリングが弾み、軋んだ音を立てる。
「バッ……バカか、お前は……」
そう口早に呟いたかと思うとジョットは、勢いよく唇を合わせてくる。熱い吐息と舌がGの唇に触れる。誘うように唇を開くと同時に、舌がねじ込まれた。
まるで飢えた獣のようだ。
流し込まれた唾液をGは、喉を鳴らして飲み込んだ。甘い。恋人の激しいくちづけに、目眩がしそうだ。
「んっ…く……」
しばらくは腰をゆらゆらと揺らしていたジョットだったが、そのうちにどうにも体が言うことをきかなくなってしまったのか、とうとうGの怪我をしていないほうの肩にしがみついていく。
「気持ちいいか?」
Gが尋ねると、ジョットは閉じていた目をうっすらと開けて、淡い笑みを口元に浮かべる。
「……いい」
溜息をつくように、うっとりとジョットは返した。
首筋を伝う汗の粒が蝋燭の炎に反射して、キラリと光って見える。そこから視線を下へ向けると、腹の辺りにはジョットの放ったものが飛び散っている。陰毛のあたりまでドロドロになって、卑猥な光景が広がっている。それなのに、生々しさがない。いやらしさを感じさせないのだ。
「このままイケよ」
耳たぶを甘噛みしたGはそっと囁く。そのまま舌を伸ばして耳の中を舐め上げると、ジョットは首を竦めて甘い息を吐き出した。
「この…ま、ま……?」
「そう。このまま自分で動いてみせてくれよ」
Gの言葉にジョットは、素直に頷く。
自分の欲求に正直なのだろうか、ジョットがGを拒むことはほとんどなかった。相手に奉仕することも厭わず、逆に奉仕されることに抵抗を示すこともない。
モラルがないというわけではない。そうではなくて、Gとの行為に対する後ろめたさを持っていないからだろうか。彼は、Gがこれまでつき合ってきた女たちとは違っていた。そう言えば自分は、女たちの媚びるようなあの眼差しが好きではなかったとGは苦笑する。
「嫌か?」
尋ねると、ジョットは首筋にしがみついてきた。怪我のあたりには触れないように気をつけながら、ぎゅう、とGの肩を抱きしめ、耳の後ろにキスをする。
「嫌…じゃ、ないが……触ってくれ」
耳元に吐息と共に言葉を吹き込むが早いか、ジョットは自ら進んで腰を揺らし始める。
切なげな喘ぎ声に、Gの腹の下に集まってきた熱がグズグズと渦巻いているようだ。
「こうか?」
根本から袋ごとてのひらに包み込むと、強弱をつけて扱いてやる。キュウ、とジョットの後ろが収縮し、飲み込んだGの性器を痛いほどに締めつけてくる。
「ん……ふ、ぁ……」
しがみつくジョットの手が、肩に食い込む。
肩に感じる痛みは甘く、Gははぁ、と溜息をついた。
根本から竿の裏側を撫で上げ、括れた部分を爪で軽く引っ掻いてやると、ジョットはいっそう甘い声で鳴く。しがみつく手にさらに力が加わり、仕返しとばかりにGの背中をカリ、と引っ掻く。
「あぁ……ん、く……」
立て膝にした両足をジョットは、Gの腰へと絡みつかせる。
「バ…カ、加減できね……」
口の中で呟いて、Gは両手をジョットの尻へと回した。怪我した肩が痛んだが、それどころではない。体の欲求を満たすのがまずは先だ。
両手でジョットの尻を抱え上げ、手を離す。それを何度か繰り返してから、ほっそりとしたジョットの腰に手を当てた。
こめかみにキスを落とすと、汗の粒が唇に触れた。ジョットの汗は少し塩辛かった。
「しょっぺぇな」
そう言ってGが喉の奥で笑うと、ジョットも同じように微かに笑う。
「お互い様だろう」
「ん、ぁあ……!」
鷲掴みにした腰を揺さぶると、ジョットの唇から甘くか細い悲鳴が洩れた。必死になって全身でしがみついてくる男の肌に浮き上がった汗の粒が、皮膚を伝い落ちていく。
怪我の痛みも忘れてGは、ジョットの体を揺さぶり続けた。
熱くて柔らかく熟れたジョットの内壁は、ぴたりとGの性器にまとわりついてくる。わざとジョットの弱いところを突き上げると、ヒッ、と喉が鳴った。
「苦し……」
くぐもった声でジョットが訴える。ふとジョットの顔を見ると、きつく閉じた目の端に涙が滲んでいる。
「辛いか?」
尋ねると、ジョットはコクコクと頷いた。
は、は、と息を吐き、必死になってGにしがみついてくる。
ジョットのほっそりとした指先が、Gの包帯を乱した。はらりと解けた肩の包帯が邪魔で仕方がないが、今は構っていられるほどの余裕がGにもない。
互いに荒い息をつきながら、体を揺さぶり合う。
「あ……あ、ぁ……」
不意にジョットの体が大きくしなり、Gの体に縋りついてくる。解けた包帯の下の傷を力任せに掴まれ、一瞬、Gの肩に鋭い痛みが走る。
「くっ……」
Gは、ジョットの腰を揺さぶった。あやすように優しく、ゆるゆると。怪我の痛みも忘れてしまのうほどの快感を求めて。
グチュ、グチュ、と湿った音をわざと立てるようにして下からジョットを穿った。突き上げるリズムに合わせるようにして、ジョットも腰を揺らしている。
目を閉じて、眉間に皺を寄せたままでジョットは大きく喘いだ。
ヒュッ、と喉が鳴り、ついでか細い声があがる。途端に、Gの腹にパタパタと白濁したものが降りかかる。
「ん、んっ……」
それでもまだ足りないのか、ジョットの性器はヒクヒクと竿を震わせていた。
自分だって、足りない。Gはペロリと自分の唇を舌で湿らすと、ジョットの腰を激しく揺さぶり始めた。
乗り上げたジョットの体を揺らすたびに、肩に痛みが走る。それでも目先の快楽に自分は囚われているのだと、自嘲気味にGは唇を歪めて笑う。
繋がっていることが感じられて、嬉しくてならない。
目の前の恋人とひとつになって、体の奥を抉るように突き上げているのは他の誰でもない自分だ。たとえ彼がボンゴレのボスとして不可侵の存在だとしても、今、この瞬間だけは自分のものなのだという優越感が、Gの中に広がっていく。
「ん、ぁ……ああっ!」
声をあげながらジョットは、無我夢中で四肢を絡めてくる。爪を立てられた傷口が痛い。 しがみついてくる体をひときわ大きく突き上げると、腹の底で渦巻いていた熱が弾けるような感覚がした。ジョットの体の中、奥のほうへと熱の塊を吐き出す。少し遅れて腹の間でパシャ、と音がして、ジョットも吐精する。腹にかかった精液が、ドロリと糸を引いて肌を滑り落ちていく。
息を荒げたままでジョットの唇の端を吸うと、頭ごと抱え込まれ、二人してベッドに倒れ込んだ。
滝のように流れる汗が不快だったが、息を整えるのが先だとばかりにジョットから体を離そうとする。
「まだ、離れるな」
そう言ってジョットは素早くGの腕を取り、体をすり寄せてくる。
「眠るなよ」
自分に言い聞かせるようにGは呟いて、ジョットの体を胸に抱き込む。
吹き出した汗と精液が混じって、肌がベタついている。早い内に洗い流しておいたほうがいいだろう。それに、肩の傷も疼き始めている。包帯を巻き直しておいたほうがよさそうだ。
「後で体を洗ってやるよ」
耳元に唇を寄せて囁くと、ジョットはくすぐったそうに小さく笑った。
「そうか。期待しないで楽しみにしている」
どうせそのまま眠ってしまうだろうと思われているのだ。これまでだって大概はそうだった。約束をしておいてそのまま忘れて熟睡してしまうことが何度あっただろうか。
ジョットの言葉にムッとしたものの、抱き込んだ男の汗のにおいを嗅ぎながらGは既にうとうととしかかっている。
「少ししたら起こしてくれ……」
そう告げたのかどうかすらわからないほど、眠くて仕方がない。
恋人の髪がさらさらと額にあたり、くすぐったい。目を閉じたままもぞもぞと体を動かし、落ち着ける位置を探し出す。
「……絶対だぞ」
口の中で呟きながら、Gは深く眠りこんでいく。
「ああ、わかってる」
ジョットの声がどこか遠くのほうから聞こえてくる。
すう、と深く息を吸うと、そのまま意識が途切れていくような感じがする。疲れているのだ、今し方の行為で。
もっとジョットの声を聞いていたいのに、とも思うのだが、いかんせん眠気のほうが勝っていて、それを口にすることもできない。
手探りでジョットの背中を夢見心地に撫でさすると、胸元に頬がすり寄せられた。顎先にふわふわと当たるのは、ジョットの金茶の髪だろう。
その感触に安心するように、Gはそっと意識を手放した。
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