プリンと花束 2

  仲間たちが寝静まるのを待って、ウソップは格納庫へとおりていった。
  サンジはまだ、キッチンで片づけをしている。
  先ほど、ウソップがキッチンを後にしようとした時にサンジは、今夜の不寝番に当たっているルフィに差し入れをしたらすぐに格納庫におりると言っていた。
  と、言うことは、だ。
  慌ててウソップは、昨日の昼間から隠してあるマットレスとケットを取り出した。残念ながら昨日は未使用のまま終わってしまったが、今日こそ使用済みにせずにはいられまい。
  甲斐甲斐しくウソップが布団を整えていると、格納庫の入り口が開いてサンジが入ってきた。
「よう、ハナ。待たせたな」
  何やらご機嫌な様子でサンジはウソップに抱きついていく。
  ふわりと、アルコールの香りがする。どうやら景気づけに一杯引っかけてきたようだ。
「さあ、しようぜ、昨日の続き」
  にやりと口の端をつり上げて、サンジが言った。
  にこにこと愛想のよい笑みをしているが、しかしその目は笑っていない。
  ウソップはかくかくと頷くと、サンジの肩に回した手に少しだけ力を入れた。



  マットレスの上に押し倒されたウソップは、次第に頭の中がぼーっとしてきたことに気付いた。
  サンジとキスをする時は、いつもそうだ。
  頭の芯がぼーっとなって、何も考えられなくなってしまう。
  キスをして、抱きしめ合い、互いの体温を感じ合った。
  舌先でサンジは、ウソップの唇を小さくつつく。ウソップが反射的に唇をうっすらと開けると、すかさずサンジの舌が口腔内へと侵入してきた。
  なめらかなサンジの舌が、ウソップの舌を絡め取る。強く吸われるとウソップの身体の中心が反応して、どんどん硬くなっていくのがわかった。
「ん……」
  キスの合間にサンジは、どんどんウソップの着ているものを脱がせていく。オーバーオールはとっくに床に放り出されていたし、下着だってそうだ。素っ裸でマットレスの上に仰向けになったウソップは、おずおずとサンジのシャツに手を伸ばす。本当は、今すぐにサンジの服を脱がしてしまいたい。肌と肌とを合わせて抱き合ってみたいと思っているのだが、どうしても積極的になることができない。どうしようかと迷っていると、サンジの手が勢いよくウソップの手を掴みあげた。
「いいか。上げ膳据え膳が許されるのは俺様のほうだ。しっかり脱がせてくれよ、長っ鼻」
  そう言うなり、サンジはウソップの手を自分のシャツの中へと引き込む。
  そっと、ウソップはサンジの腹に触れてみた。
  滑らかな肌。痩せてはいるが、しっかりと筋肉のついた男の肉体だ。脇腹のあたりを撫で上げてやると、くすぐったいのかサンジは身を捩った。
「んっ……ぁ……」
  ピクン、とサンジの身体がしなる。
「もっと……」
  掠れた声で、サンジが何事か呟いた。
  ウソップにのしかかるような態勢で、じっと愛撫に耐えているところが何とも愛おしい。
  焦らすように胸の突起を摘むと、サンジは自らの腰の高ぶりをぎゅっとウソップの股間に押しつけてくる。着衣のままの姿はひどく扇情的で、ウソップの理性は今にもどうにかなってしまいそうなほどだ。勃起してこりこりとした感触になった乳首に、両手でマッサージするかのような要領で触れながらウソップは何度も口づけを交わした。
「なぁ、サンジ。……脱がしてもいいか?」
  息継ぎの合間に尋ねた瞬間、サンジの膝頭が股間を直撃する。
「……ぐげっ」
  咄嗟に身体を丸めてウソップは急所を庇った。これ以上蹴られたら、今夜だけでなくこの先ずっと、使い物にならなくなりそうな不吉な予感が脳裏を横切った。



「おい、いいか、ハナ。俺様とヤりたいのなら、クソつまらねぇことは一切口にするな。萎えるんだよ」
  低く、唸るような声でサンジが言った。
  言いながらもサンジは自分で衣服を一枚一枚床に脱ぎ捨てていく。
「……ったく。ちんたらやってんじゃねぇよ、長っ鼻」
  一糸纏わぬ姿になるとサンジは、そのままウソップを押さえ込むようにしてのしかかっていった。奪うようなキスをして、きつく舌を絡める。ウソップも、サンジの舌を吸った。強く、舌の根本までも絡め取り、吸い上げる。時折、互いの呼吸が耳に大きく響いた。
「クソッ……」
  唇が離れた瞬間、サンジが小さく呟く。
  すかさずウソップはサンジの頭を片手で押さえ込み、もう一方の手で思っていたよりも肉付きの悪い肩口を抱きしめた。
  互いの唇の狭間でちゅ、と音がして、サンジの煙草のかおりがウソップの鼻をくすぐる。ウソップが舌先でサンジの歯列を舐める。サンジが喉の奥でまた、低く呟いた。
「もっと……もっと、触れよ」
  そう言って、肩口を抱きしめていたウソップの手をとり、自らの股間へと導く。
「いつまでも焦らしてんじゃねぇよ、クソ野郎」



  サンジの性器は既に勃起しており、先端からは先走りの液を滴らせている。
  ウソップはサンジのペニスに指を這わせると、恐る恐る竿の裏をなでさすった。
「ん……ぅっ……」
  竿の側面に浮き上がった血管を、勢いよく血液が流れていく。ピクピクと蠢く竿は、まるでそれ自体が意識を持って動いているかのようだ。
  何度か手で扱いた後、ウソップは躊躇うことなくサンジのペニスを口に含んだ。口を窄め、喉の奥までペニスを引き込む。むせ返るような青臭いにおいと、ドロリとした先走りの液がウソップの口の中に広がる。
「あぁ……」
  くちゅ、とウソップの舌がサンジの竿に絡みつき、痛いほどに吸い上げる。
  サンジの背が、しなる。カクカクと小刻みに震えながらも足は、もどかしくマットレスを蹴っている。
「あ、あ……んぁっ……」
  がし、とウソップの頭を鷲掴みにし、サンジは与えられる快楽を耐えようとしていた。加減を知らないウソップは、ただサンジの反応を楽しんでいるだけなのかもしれない。
  唇を噛み締めたサンジの目尻に、じんわりと涙が溜まりだす。
  両方の腿でぐい、とウソップの上半身を挟み込み、サンジは大きく身を弓なりに反らした。



To be continued
(H16.4.14)



US ROOM              2