プリンと花束 3

  執拗なまでにウソップはサンジの後孔を攻めた。
  器用な指先が孔の縁から中へと侵入を果たし、ゆっくりと内壁を蹂躙していく。中指とひとさし指とでさんざん内側を掻き回し、解してしまうと、するりと指を引き抜いた。それから、息をつく暇も与えずに今度は舌が、深くて暗いサンジの孔の中へと入り込んだ。
  ピチャリ、と湿った音がして、サンジの耳を打つ。
  格納庫には二人の荒い息遣いだけが響いている。時折、船底を打つ波の音が微かに聞こえてくる。
「ぁ……」
  うわごとのようにサンジが呟いた。掠れて弱々しくなったその声に、ウソップがようやく顔を上げた。
「止まんねぇ……」
  困ったように口をへの字に曲げて、ウソップが告げる。
  サンジは淡い笑みを口元に浮かべると、気怠そうに身を起こした。
「少しだけじっとしてろよ」
  そう言うとサンジは体勢を入れ替え、ウソップの腹の上に座り込んだ。マットレスの上に仰向けに寝そべったウソップの目に、露わなままのサンジの股間が飛び込んでくる。
  視線を逸らすこともできず、ウソップはじっとサンジの股間から尻にかけてのあたりをじっと眺めていた。
  勃起して、精液に濡れたサンジのペニス。ウソップの、ごわごわとした剛毛の陰毛と違って、やわらかそうなサンジの陰毛。その奥、尻の狭間を行きつ戻りつしているのはサンジの繊細な指だ。
  ウソップの先走りを指ですくいとり、サンジは丁寧に尻に塗り込めていく。
  わざとウソップの目に付くように、ゆっくりと指を動かした。くちゅくちゅという湿った音が、静かに、室内に満ちていく。



  サンジの中に、ウソップのペニスが沈み込んでいく。
  躊躇いながらもサンジがそっと体重をかけると、亀頭が後孔を押し広げた。痛くはなかった。ただ、その質感が思っていたよりも大きかったというだけで。
「は……っぁ……」
  くい、と背を丸めて、サンジは挿入の衝撃に耐えた。痛みはない。しかし、ずぶずぶと潜り込んでくる圧迫感に、自然と身体に震えが走る。
「無理するなよ」
  心配そうにウソップが声をかけてくる。
  サンジはしかし目を閉じて、行為に没頭していた。溜息のような深い呼吸をしながら、ウソップのものを身体の奥へと飲み込み、引きずり出す。サンジの奥まったところでは、熱い迸りを求めて内壁が収縮を繰り返していた。
「ウソップ……」
  掠れて低くなった声で、サンジが名前を呼んだ。それと同時に蒼い目が見開かれ、じっとウソップを見つめた。
「いつまで待たせるんだ、ハナ野郎」
  そう言うとサンジは、ウソップの手を自分の股間に押し当てる。ウソップがやんわりと手のひらで包み込むと、ビクビクとサンジのペニスが痙攣した。
「なあ、サンジ。お前の中って、なんでこんなに……」
  ウソップが言いかける。
「しーっ」
  悪戯っぽくサンジは目だけで笑うと、そのまま自分から腰を揺らし始めた。



  迸りが、二人の中で沸騰しているようだ。
  出口を求めて、身体の中で渦巻いている。
  ドクン、ドクン、とウソップの心臓も脈打っていた。その音はサンジに聞こえてしまいそうなほど、大きく力強い。
「サンジ……サンジ、俺、もうイきそう……」
  情けない声でウソップが訴える。
  サンジはわかっている、という風に軽く頷きかけると、尻の筋肉をきゅっ、と締めた。リアルな質感が、サンジの中で快感となって跳ね返ってくる。
「あ……はあぁっ……」
  膝立ちになって腰をわずかに浮かせたサンジは、後ろ手にウソップのふぐりを揉みしだく。
  ビリビリと、ウソップの体の中を電流が駆け抜けるような感覚がした。それまでの快感とは比べものにならないぐらい、大きな快感だ。
「ぅあっ……やめっ、サンジ、ちょっと待て……」
  慌てて起きあがろうとしたウソップの腰が上方へと浮き上がり、サンジの奥を激しく突き上げた。サンジの身体が大きく弓なりになる。
「やめろって、出る……中に出るからやめろって…──!」
  悲鳴のような声でウソップが言う。それを聞いてサンジはいっそう強く、ウソップのふぐりを手のひらに押し込めた。
「出せよ」
  サンジの動きが性急なものになった。内壁の奥が欲しているものを求めて、一心に腰を動かしている。
「出しちまえ、クソっ鼻!」



  頭で考えるよりも先に、ウソップの身体は大きく痙攣していた。
  サンジの中に出してはいけないと思いながらも、熱い迸りはとどまるところを知らず、次から次へと溢れ出てくる。
「ん……はっ、あぁっ!」
  荒い息をつき、サンジが上体を動かした。
  ずるり、とサンジの中からウソップの竿が引き抜かれる。精液に濡れたウソップのペニスはまだ硬度を保っており、ヒクヒクと蠢いている。
  体の中から抜け出た竿に、サンジは自身のペニスをなすりつけた。まだ渦巻く熱を身体の中で燻らせたままのサンジは、持て余し気味の身体ごとウソップにのしかかる。
  腹の間で勃起したペニスが揺れている。
  濡れた音がして、互いの腹や陰毛やふぐりを混ざり合った二人の精液が汚していく。
「あ、ぁふぅ……っ……!」
  ウソップの顔の横についた両腕を突っぱねて、サンジはイった。
  深い息を吐き出しながら、そろそろとウソップの上に体重をかける。
  すぐにウソップの手が、サンジの背に回された。
「なぁ……お前、気持ちよすぎ」
  サンジの耳元に、ぽそりとウソップが囁いた。



  マットレスの上でウソップはまどろんでいた。
  一日遅れで手に入れた誕生日のプレゼントは、幸せな余韻を残してくれた。
「腹、減った……」
  掠れた声で呟くと、サンジが喉の奥で小さく笑う気配がした。
「もうちょっとしたら、キッチンで何か食うか」
  朝まではもう少し間がある。軽くなら、何か腹に入れても悪くはないだろう。ウソップは言葉を返そうとしたが、あまりにも眠くて言葉が出てこない。
「ん……」
  眠りながらも頷いたウソップの唇を、柔らかいものがさっと掠めていった。
「──しばらく休んでろ」
  穏やかな声に引きずられるようにして、ウソップは眠りについた。
  この年下の恋人が目覚めたら、プリンを食べさせてやろうとサンジは思った。ふんわりとして滑らかな、特製のプリンだ。
  それから、キスを。
  一日遅れの誕生日にふさわしい、甘いキスをたっぷり与えてやろうと、サンジはそう思ったのだった。



END
(H16.4.18)



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