後ろで結んでいたエプロンの紐が解けてしまうと、獄寺の肩から紐がずり落ちてきた。腕に残った紐が邪魔だったが、これはこれで、卑猥に見えないこともない。
  エプロンの端からちらりと覗く乳首が、綱吉の唾液でてかっている。
「肌がピンク色になって、いやらしく見えるね」
  言いながら綱吉は、あいているほうの手を使って獄寺の乳首を攻めた。指の腹でゆっくりと乳首をにじり潰していくその一方で、舌と唇とを使ってもう片方の乳首を吸い上げたり唾液を絡めたりしていく。
「ぁ……」
  躊躇いがちに声をあげると獄寺は、綱吉の頭を抱きしめた。
「や……だ、め……です……」
  掠れた声で獄寺は、綱吉を煽ろうとする。
  嫌だと言いつつも獄寺の腕は綱吉の頭をしっかりとかき抱き、胸の先端を綱吉の口元へと押しつけるような仕草を続けている。
「何がダメなんだよ」
  呟いて綱吉は、獄寺の中に潜り込ませた指を大きく動かした。生クリームがとろけて、グチュッ、グチュッ、と湿った音を立てている。
「や、ぁ……！」
  不意にビクン、と大きく体をしならせたかと思うと獄寺は、綱吉の指を強く締めつけた。内部がヒクヒクと蠢いて、綱吉の指をさらに奥深いところまで飲み込もうとしているかのようだ。
「すごい……獄寺君、中がヒクヒクしてるよ」
  耳元でそう囁いてやると、獄寺は目元をうっすらと赤らめて首を左右に振った。
「ちがっ……」
「違わないだろ」
  奥のほうまで指を押し込んで、内壁をカリ、と引っ掻く。そうすると獄寺の体が震えて、エプロンに隠れた前の部分にじわりと濃い染みができあがる。
「前、触らなくてもイけそうだね」
  中に潜り込ませた三本の指で内壁を押したり引っ掻いたりしていると、それだけで座り込んだままの獄寺はもどかしそうに体をもぞもぞとさせる。指先が自分のいいところにあたるように導こうとしているのだと気づくと綱吉は、すぐに指を浅いとこまで引きずり出してしまった。
  本当は、今すぐにでも獄寺を押し倒したかった。
  だが、まだだ。獄寺を悦ばしてやるのは、たっぷりと乱れる姿を堪能してからだ。
「このまま、イってみせてくれる？　自分で動いて、後ろだけでイくところ、オレに見せて」
  ここしばらくの鬱屈した思いを晴らすため、少し意地悪く綱吉は告げた。



  今にも泣き出しそうな表情を浮かべたものの、獄寺は唇を噛みしめ、もぞ、と尻を動かした。
  獄寺の中で綱吉の指がきつく締めつけられる。
「あっ……」
  甘く掠れた声をあげると獄寺は、片手で綱吉の手首を掴み、固定した。それからゆっくりと、自分で腰を揺らし始める。
「ん……んっ」
  グチュッ、と湿った音がするたびに、エプロンの前の染みがより濃くなり、大きく広がっていく。腰を揺らすたびに獄寺の前がエプロンの裏側で、刺激を求めているのだ。
「すごいね、この染み。あっという間に濃くなっていくよ」
  するり、とエプロンの布地ごと獄寺の性器を鷲掴みにしてやると、これ以上はないほどに硬く張り詰めていた。
「ひ、ぁ……」
  逃げを打とうと獄寺が尻を上げるタイミングで、綱吉は握りしめた手に力を入れる。
「ほら、もっと奥まで指、くわえて」
  言いながら前を掴んだ手を小刻みに動かすと、獄寺の体は面白いほど大きく震えて、後ろの窄まりはきゅうきゅうと綱吉の指を食い締めた。
「も、や……」
  はあっ、と息をついた獄寺の口元が淫らに開いて、赤い舌が誘うように蠢く。
「イくところを見せてくれたら、挿れてあげるよ」
  獄寺の欲しいものなど、綱吉にはお見通しだ。
「や……無理……す」
  ふるっ、と獄寺は体を震わせた。
  それでも健気に綱吉の手に性器を押しつけるようにて、腰の動きを再開させる。
「上手だよ、獄寺君」
  獄寺の動きにあわせて綱吉は、中を弄る指の動きを大きくしてやる。日本の指で内壁を押し広げるようにしておいて、もう一本で中を擦る。そうすると獄寺の腰の動きはさらに大きくなる。
  綱吉は獄寺の前を握っていた手をじりじりとスライドさせながら離した。
「じゅ……十代、目……」
  ひらりとエプロンの裾をたくし上げ、先走りでドロドロになっている獄寺の性器にまた、布をかぶせる。
  布腰に性器を掴み直すと、今度は染みが広がるようにして擦り上げてやる。
「あぁ……」
  イく、と獄寺は掠れた声で口走った。綱吉の頭を抱きしめていた腕が外れ、自らエプロンを捲り上げる。
「見て……十代目、見てください……」
  啜り泣きながら獄寺はそう告げると、綱吉の目の前で射精した。ビク、と震えた性器の先端から飛び出した白濁が、エプロンや綱吉のパジャマを汚していく。
  二度、三度と竿が震え、精液を出し尽くしてしまうと獄寺は、息を荒げたまま綱吉の目を覗き込んできた。
「これで……満足されましたか、十代目？」
  尋ねる獄寺の顔は、まだどこか物足りなさそうな表情をしている。
「まさか」
  そう言うと綱吉は、獄寺の中から指を引き抜いた。



  エプロンを脱がすものもどかしく、結局、そのままキッチンの床に獄寺を押し倒してしまった。
  生クリームでヌルヌルになった後孔に綱吉がペニスを突き立てると、獄寺はあられもない嬌声をあげて悦んだ。
  この声が聞きたかったのだと、綱吉は思う。
  掠れて色気のあるこの声が、好きだ。普段の獄寺の声に甘みが増して、とても色っぽく聞こえるのだ。
  獄寺の足を大きく左右に割り開くと、エプロンの裾からくたりとなった性器が見えた。今は射精したばかりで力をなくしているが、すぐにまた硬く張り詰めて先走りで濡れてくるだろう。
  やや強引に腰を押し進めると、気持ちいいのか獄寺は、喉を鳴らすように甘い声をあげた。
「気持ちいい？」
  ゆさゆさと体を揺らしながら尋ねると、獄寺は何度も頷いた。
「じゃ、もっと気持ちよくしてあげるね」
  獄寺の手を取り、くたりとなった性器へと導いてやると、素直に自らのものを握りしめ、扱きだす。
  獄寺だってきっと、綱吉と同じ気持ちでいるはずだ。
  ケーキなんかよりも、恋人のほうがずっといいに決まっている。互いの体のほうが、ケーキなんかよりはるかに甘いはずだ。
「十代目……」
  強弱をつけて腰を突き上げると、獄寺の前が張り詰めていくのが見て取れた。獄寺の白い手の中で硬さを取り戻したものが、早速と先走りをしたたらせはじめている。
「獄寺君、今、すごくいやらしい顔してる」
  低く囁くと、獄寺は嬉しそうに笑い返した。
「好きです、十代目」
  綱吉も微かに笑った。
「オレも、好きだよ。獄寺君が」
  そう返した途端、獄寺の締めつけが強くなる。
「もっと……奥まで、来て……ください」
  グチグチという湿った音を立てて、獄寺の前が先走りで汚れていく。
  綱吉はさらに大きく獄寺の中を穿った。もうとっくに知り尽くしているはずのいいところを突き上げ、時に擦り上げてやると、獄寺の目元が濡れてあだっぽくなる。
  ふと見ると、獄寺の乳首に生クリームがほんのりと残っていた。可愛らしいトッピングだ。
  思わず綱吉は大きく獄寺の中を突き上げた。そのまま伸び上がって目の前の乳首にカプリと噛みつくと、獄寺の体が大きくしなった。綱吉の腹のあたりを濡らす精液の生あたたかい感触がして、ついで綱吉も獄寺の中に精を放っていた。



  二人の呼吸が落ち着いてくると、妙に気恥ずかしいような気持ちになってくる。
  そそくさと体を離すと綱吉は、あたりをざっと片づけて、獄寺の体を抱き起こした。
「ちゃんとベッドで寝ようよ、獄寺君」
  それから、まだ息の整わない獄寺の唇に軽くキスをする。
「ケーキ、楽しみにしてるから」
  だから今夜のところは、もう休もう。
  抱き上げた獄寺の体はそう軽いものではなかった。骨張った体格は間違いなく男の肉体だが、綱吉の好きな獄寺の体でもある。
  しがみついてくる獄寺のこめかみに掠めるようなキスをして、綱吉は寝室へと足を向けた。
  密着した獄寺の体には、生クリームの甘ったるいにおいがまだ残っていた。