『PIERCE 3』
「嘘吐け。まだ痛てぇぞ、この淡泊野郎」
してやったりと思った途端、サンジは両手首をゾロに捕まれていた。自分が口にした言葉を取り消すことができたらと後悔したのはほんの一瞬だけだ。すぐに、意識が目の前の男へと引き戻される。
強い力で両腕を一纏めにされたサンジは、後ろ手にぎりりと拘束された。
「っ……痛てぇ……」
眼差しだけでも逆らってみせるが効果はなく、反対にゾロににやりと笑い返されてしまった。
「こういうのが好きなんだろう?」
尋ねられ、サンジは首を軽く傾げる。
「いや、別に」
「そうか?」
言いながらもゾロは、サンジの胸の突起に唇を這わせる。舌先でほんのりと色づいたサンジのものをつつくと、それだけで乳首がつんと勃ち上がって硬くしこっていく。
「…んっっ……」
こらえようとすると、余計に鼻にかかった甘い声が洩れる。サンジはままならない腕に力を入れ、ゾロの手から逃れようとした。
「やめろ。腕がへし折れるぞ」
胸への愛撫を続けながら、ゾロが言う。
「はっ…ぁ……うるせっ……──」
言い返しながらもサンジは、このままゾロが腕を掴んでいてくれればと思っている。もどかしいような焦れったいような感覚がサンジの下半身を苛んでいる。
それでもサンジは、このままの体勢でいたいと思っていた。
いつものような、お互いに相手を喰らい尽くすような激しいセックスの時よりもずっと穏やかな表情のゾロが目の前にいる。
一掴みに纏め上げられた腕は確かに痛んだが、ゾロが無茶をしかけてこようとしている様子はない。それどころか労るような眼差しで、いつもよりも濃厚な愛撫を体中に与えてくる。
ゾロの上に馬乗りになったまま、サンジは首を横に振った。
自分で腰を動かしながらサンジは、ゾロにキスをした。
穏やかな瞳が、サンジをじっと見つめている。腹一杯に獲物を食べた後の肉食動物のようにふてぶてしい目つきだと、サンジは何となく思った。
「どうした? 今日はやけにおとなしいな」
荒い息の下から何とか声を絞り出すと、からからに乾いた喉が痛んで咳が出た。サンジは何とか口の中に唾を溜めると、ごくりと飲み込む。
じっとゾロを凝視すると、にやりと笑って返された。それからいきなりゾロは、サンジの腰をがしがしと揺さぶった。
「ぁうっ……はっ、はっ……」
両腕を拘束されているために身体を支えることができないサンジは、勢いで背中を反らした。自然、ゾロのほうへと胸元が突き出され、こりこりとした緋色の飾りをまた深く吸いあげられてしまう。
「んっ……はっ…ぁ……」
仰け反ったサンジの頭は、今にも床につきそうだ。
ゾロは手首を掴んだ手にぐい、と力を入れると痩身の男を自分の胸の中に引き込んだ。
「もっと動けよ。ピアスの痛さを忘れたいんだろ?」
引き込まれた胸の中で乱れた息を整えると、サンジはちらりと上目遣いにゾロを見る。
「んあ?」
優しい眼差しが、じっとサンジを見下ろしていた。
サンジは舌を突き出した。赤い舌はうっすらと開いた唇の間でうねうねと蠢めき、ゾロを誘っている。
ぬるり、と。
次の瞬間、ゾロの舌がサンジの舌に触れた。
「…ふっ……ぅ……」
貪るようにキスをすると、サンジの乾いた口内から唾液が溢れてきた。まるで女の下の穴のようだなと、サンジはキスをしながら思った。
くちゅ、くちゅ、とサンジの股間で湿った音がしている。
ゾロの手は、屹立したサンジのものを捕らえて離そうとしない。手のひらで軽く扱かれるだけで、あっさりと達してしまいそうになる。
「んんっ……」
鼻に抜けるサンジの声に、ゾロは小さく笑った。
to be continued
(H15.8.14)
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