ゆっくりと、サンジは追いつめられていく。
  ぬるりとした感触が結合部から尻を伝い、太股を濡らしていた。
「今日はしつこいんだな」
  サンジが言う。
  ゾロは、サンジの耳たぶにそっと歯を立てる。歯がピアスに引っかからないように、細心の注意を払って甘噛みした。
「つっ……んっ……」
  うなじのあたりに指を這わせると、それだけでサンジの身体が微かに震える。先端の部分にじんわりと滲み出たものがあり、ゾロはそれを擦り込むようにして割れ目の部分に爪を立てた。
「…ぅ……」
  もぞもぞとサンジの腰が動いている。可哀想なほどに張り詰めたサンジの先端は先ほどからずっと反り返り、白濁したものでゾロの腹を汚している。
「自分で動け」
  ゾロが言った。
  言われなくてもそうするつもりだった。
  サンジは膝に力を入れると、腰を大きく揺さぶり始めた。



「あっ……あぁ……」
  穿たれたゾロのものが内壁を擦り上げるたびに、サンジは声を洩らした。
  だらしなく開いたサンジの口の端から、涎が伝い流れている。それをゾロは舌で舐め取り、飲み込んでいく。
「今日はじっくりと見せてもらおうか、お前がイくところを」
  そう言うとゾロは、サンジの鎖骨の窪みに舌を這わせる。指先は、湿った音を立てながらサンジの先端の括れから裏のほうへとかけて、進攻している。
「久しぶりに……だろ？」
  嫌味を込めて、サンジが言う。
「……かもな」
  素知らぬふりでそう返すとゾロは、結合部へと指先を移動させた。ゾロ自身の先走りだけとは思えないような量の体液が、中から溢れ出している。
「すげぇな、ここ」
  と、人差し指をサンジの中へねじ込もうとした。
「はっ……くぁっ……」
  ゾロの指から逃れようとサンジが上体を捻ると、中の締め付けが強くなる。根本から先端まで、ゾロの形がはっきりと内壁に刻み込まれ、サンジの腹筋にきゅっ、と力が入った。
「ここか……？」
  ゾロはねじ込みかけた指を引き抜くと、サンジの下腹に手のひらをそっと押しつけた。ゾロのてのひらのあたたかさに、サンジはこそばゆいものを感じた。
「お前、イきそうになるといつもこのあたりの筋肉が締まるんだな……」



  麻袋のごわごわとした感触がサンジの足を痺れさせる。
  それでもこの体勢を変えようとしないのは、気持ちがいいからだ。
  男同士だというのに、ゾロに抱かれるのは悪くないと、そんな風にサンジは思っている。幾人もの女性たちと寝所を共にしてきたが、そのどれもがいつも、与えるばかりのセックスだった。女性を敬い、優しく扱う。そんなセックスをしてきた。
  しかしゾロとのセックスは、そうではない。
  確かに自分が抱かれることに対して少なからず抵抗はあったが、その先にある歓喜の前には、どうにもできなかった。
  女性とはまた違った快楽を与えてくれるゾロに、サンジはもう随分と長いこと骨抜きにされ続けている。
  それはもしかしたら、女性に対する扱いとはまた違った男同士のある種、戦いにも似た激しいセックスによるものかもしれない。
  ゾロとのセックスでは、少なくともサンジは自分を抑える必要はなかった。
  これがもしかしたら、二人が続いていることの理由かもしれない。
  そんなことを考えながらサンジは目を閉じた。
  身体の中のゾロは、まだ暴れている。
  灼熱の棒で内壁を傷つけ、引っ掻き回している。
  うっすらと目を開けてゾロを見ると、彼は何やら神妙な顔つきでサンジのものをいじくるのに夢中になっていた。
「……クソッ……イかせろよ、マリモ野郎」
  呟いた瞬間、下からやんわりと突き上げられた。



「ひぁっ……」
  サンジの身体が反射的に反り返る。
  ゾロはサンジのものを手の中に握り込むと、その手を上下させた。骨張ってがさがさした手のひらが、否応なしにサンジを高みへと連れていこうとする。
「あぁ……」
  サンジは自ら腰を動かしてゾロを貪った。
  すっぽりとサンジの中に収まったゾロは、今にも弾けてしまいそうだ。
「キス……して、くれよ……」
  サンジが言った。
  ゾロはサンジの唇を吸い、口腔内を舌で掻き回した。