『PIERCE 5』
「ん、んっ……ん…はっ……ぁ……」
自分から腰を動かすのと、突き上げられるのとでは感じ方がまた違う。
サンジが高みを目指して腰を動かすと、ゾロがその隙をついて腰を動かした。深いところを何度も突き上げられ、サンジはぐったりとなっている。早く終わらせたいと思いながらもしかし、この行為を長引かせたいと思っているのもまた事実だった。
「あ……はぁっ……」
ビクン、と不意に、身体の中でゾロが弾けた。普段の経験から淡泊な男なのだと思っていたのに、ここまで焦らされるとはさすがに思ってもいなかった。
サンジは恨めしそうにゾロを見つめると、口を尖らせる。
「てめっ……自分だけ先にいい思いしやがって」
そう言うなり両足ともに立て膝にすると、ゾロの腰に足を絡め、尻を動かした。
まだ熱の残るゾロの楔が、サンジ自身の体重でいっそう深いところへ潜り込もうとする。
「このまま、もういっぺんいい思いをさせてやる」
挑みかかるようにサンジが言うと、ゾロはふん、と鼻を鳴らした。
「面白い。やれるもんならやってみやがれ──」
後ろ手に拘束された腕の感覚がなくなってきている。
腕を拘束されたままだと動きが緩慢にならざるを得なかったが、それでもゾロがいつも以上に丁寧に扱ってくれるのが嬉しくて、サンジは特に抵抗しなかった。
結局、あれからサンジは二回、イかされた。
一度はゾロの手で。その次は自分からゾロの腹に先端を押し当て、擦りつけてイった。二人の腹の間では、サンジの白露が湿ったいやらしい音を立てていた。
「どうだ? まだピアスの傷は痛むか?」
勝ち誇ったように微笑むゾロに、サンジはしかめっ面で返す。
「ああ、まだ痛むな」
耳元のじくじくとした痛みはまだ続いていたが、我慢できないほどのものではない。本当のところは、少しでもゾロに気にかけてもらいたくて痛がっているだけなのだから。
「だけど……」
と、サンジはゾロの目を覗き込んで言葉を続けた。
「もう一度キスしてくれたら……」
「もう一度キスしたら?」
茶化すように、ゾロが返す。
「痛いのがなくなりそうなんだけどなぁ…──」
と、サンジ。
ゾロは一瞬、面食らったようだった。まさかサンジからこんな言葉を聞かされることになろうとは、思ってもいなかったのだ。
「キスだけでいいのか?」
尋ねると、サンジは唇を合わせようとしてきた。
「それはこっちのセリフだ。お前こそ、キスだけでいいのか?」
唇を合わせると、それだけでは物足りなくなる。相手に触れたくなるし、声も表情も、何もかもひっくるめて欲しくなる。それは何もゾロだけに限ったことではなく、サンジもまた、同じ気持ちを胸に秘めていた。
空いているほうの手でサンジの髪を鷲掴みにするとゾロは強引に唇を合わせ、舌をきつく吸い上げた。
腕を拘束されたままサンジは、貫かれた。
サンジの中から溢れ出た体液が尻を伝い流れ落ちてくる。麻袋の上にできた染みを見れば、それがかなりの量であることがわかる。
「やっぱ、スキン持ってくればよかったな」
ぽつりとゾロが呟いた。普段は随分と大雑把なくせに、こういうところにだけ妙に細かいのだ、この男は。
「いや、俺は中で出してもらうほうが……」
サンジが言いかけると、ゾロは慌ててサンジのものを握り締める。
「余計なこと言ってねぇでこっちに集中してろよ、お前はよ」
軽く扱いてやると、サンジは背を弓なりに逸らした。咄嗟に唇を噛み締めたのは、声を洩らさないようにするためだ。
「んっ……くっ……」
眉間に皺を寄せるサンジは男だ。そのサンジの中に自分のものを突っ込んで頑張っているゾロも、また男。男同士で何故、こんなにも惹かれ合うのだろうかと思いながらもサンジは快楽の海へと流されていく。
目を閉じると、ゾロの汗ばんだ肌から立ち上る体臭と、掠れた声が心地よかった。
「ぁあっ……はぁっ……」
身体の奥にゾロが熱い迸りを叩きつけた時もサンジは、夢見心地でそれらを感じていた──
to be continued
(H15.8.19)
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