体が熱くてたまらない。
綱吉ははあ、と息を吐き出す。
じりじりと腰を動かすと、獄寺の太股に押さえ込まれた。膝頭が、綱吉の股間をぐい、となぞり上げる。
「ぁっ……!」
腰が跳ねて逃げを打とうとするのを、獄寺は膝に力をかけて押さえ込む。
「や……獄寺、君っ……」
こんなふうに触られていると、どんどん体が熱くなってくる。
獄寺の手が忙しなく綱吉の体の上を動き回り、少しずつ下肢へと近付いていく。ベルトの金具を外す音が、やけに大きく耳に響く。
「嫌だ……」
掠れた声で懇願すると、一瞬、獄寺の手が止まった。
「……でも、辛いんじゃないっスか? 熱いんですよね、体」
まさにその通りだったが、残酷な言葉だと綱吉は思った。そんなふうにはっきりと口に出して言わないでほしかった。
「だって……」
確かに、体が熱くてたまらない。血管の中を、沸騰した血が駆け巡っているような感じがする。それに、触られると体が過剰に反応するのだ。
平然とした顔の獄寺を前にして、さっきから綱吉は恥ずかしくてならない。
自分だけがこんなに体を熱くして、獄寺に触れられて悦ぶなんて、本当にどうかしている。
「獄寺君……お願い……」
何をお願いしているのか、自分でもよくわからない。それでも、お願いをしないことには体の中の熱が引かないことを、綱吉は紗がかかったようにぼんやりとした頭の隅で理解していた。
「……十代目」
耳元に獄寺が囁きかけてくる。この微かな息遣いにすら綱吉は、体をヒクヒクと震わせる。
「んっ……ぁ……」
ヒクン、と背がしなり、先端にじわりと白濁したものが滲み上がってくる。下着がヌルヌルになっていくのが感じられて、その感触だけがやけに鮮明で、気持ちが悪かった。
「ご…く、寺……君……」
まるで啜り泣くような声を綱吉があげる。
「楽になりたいんスよね、十代目?」
優しく尋ねられ、綱吉はコクコクと頷いた。
もう、何も考えられないほど体が熱くてたまらなかった。
とうとう、獄寺の手が綱吉のベルトを引き抜き、下着ごとズボンを引きずり下ろしてしまった。
「ああっ……!」
咄嗟にズボンを取り返そうと手を伸ばしたが、一瞬早く、獄寺の手はズボンを綱吉の手の届かないところへ投げ出していた。
「や……獄寺君っ」
フルッ、と綱吉の体が震える。
腕にかかっただけのシャツがくしゃくしゃになってまとわりついていて、みっともない。 「ああ……十代目、やっぱり感じてるんですね」
そう言うと獄寺は、おもむろに綱吉の股間へと手を伸ばし、竿をきゅっと握りしめる。
「ひっ、ぅぅ……」
獄寺の腕を掴んだものの、二度、三度と手を動かされ、竿を扱かれると制止の力が弱まっていく。そのうち、獄寺の腕が動くにつれて、綱吉の手が気持ちいいところへ誘うように、ぐいぐいと腕を引っ張り出す。
「……ここ、ですか?」
手を動かした獄寺が、探るように綱吉の顔を覗き込む。
恥ずかしそうに目を伏せた綱吉は、小さく頷いた。
「んっ……そこ……」
ぐい、と獄寺の腕を引き寄せ、股の間へと強く押しつける。
「そのまま……う、しろ……後ろも、触って……」
獄寺の手の中では綱吉の性器がビクン、ビクン、と震えている。側面に血管が浮き出て、ピクピクとなっているのがはっきりとわかる。
「後ろもですか?」
獄寺が尋ねた。
「ん……触って」
返しながら綱吉は、腰をじりじりと揺らしている。
体の熱を放出してしまえば、楽になることはわかっている。そのためには獄寺に手を貸してもらわなければならいことも、充分すぎるほどよくわかっている。
「早く……」
そう口早に告げると同時に綱吉は、自ら足を大きく広げた。股の奥の窄まった部分が獄寺の目によく見えるように、限界までピンと足を伸ばす。
獄寺が、ゴクリと唾を飲み込む音が聞こえてくる。見ると、喉仏が大きく上下するところだった。
「すごいっスよ……こんなにヒクついて……」
溜息をつきながら獄寺が呟く。
あいているほうの手でそろりと玉袋の下のあたりから蟻の戸渡をなぞると、綱吉の喉がヒッ、と鳴った。
綱吉自身、自分でも後ろの窄まった部分がヒクヒクとなるのが感じられた。
嫌だ、やめてと口では言いながらも、やはり獄寺に触れてもらいたくてならなかったのだ。
「指、挿れてもいいっスか?」
お窺いを立ててくる獄寺に、綱吉は焦れったそうに頷く。
「早く挿れてっ!」
体の中の熱が、綱吉の中でグルグルと回っているような感じがする。
獄寺はゆっくりと指で窄まった部分の縁をなぞった。皺を伸ばすようにして指でこねくり回し、時折、襞の中心へと指をやんわりと突き立ててみる。しかしなかなか中に入れようとはしない。
綱吉の腰が揺らいで、獄寺のもう一方の手に戒められた性器がだらだらと白濁したものを滴らせる。つー、と竿から零れ落ちた先走りは、陰毛を濡らし、ゆっくりと後ろのほうへと伝い下りていく。
「ああ……」
もどかしい思いに綱吉は、また腰を揺らした。
伝い落ちた先走りを獄寺の指が掬い上げ、窄まりへと塗り込める。
「ん、ぁ……」
くぷ、と湿った音を立てて指が襞を掻き分け、綱吉の中へと潜り込んでくる。
「ふぁ……あ、あ……!」
内壁をなぞるように獄寺の指が動く。内部を確かめるように指の腹に擦られると、それだけで綱吉の腰が大きく跳ねる。
「や、あ……やめっ、獄寺君、駄目っ……!」
グチュ、グチュ、と音を立てながら獄寺の指は、綱吉の内部を擦り上げた。少しだけ痛かった。しかしそれ以上に気持ちよかった。快感ばかりが綱吉の目の前にやってくるまでに、そう長い時間はかからなかった。
リズミカルに獄寺の指が動く。奔放に、まるでピアノを弾くように、ほっそりとして長い指が、丁寧に、優しく、綱吉の内部を擦り上げていく。
「あ、あ……イく……」
ブルッ、と綱吉の体が震えた。
窄まりに突き立てられた獄寺の指を無意識にきゅう、と締めつけると、獄寺が喉を鳴らして笑う。
「まだ、イけないでしょう、十代目?」
意地悪な瞳だが、何故だか愛しく思える。
獄寺の腕を掴んだ手に、綱吉は力を込めた。
「獄寺君と一緒に、イきた……」
綱吉が最後まで言い終わらないうちに、獄寺の指が引き抜かれた。
「……ヒッ!」
思わず綱吉が声をあげると、すぐに別のものが綱吉の窄まった部分に押しつけられた。
熱くて、硬くて、先端から既にヌルヌルとした先走りを滴らせた、大きなものだ。自分の体の中の熱よりも熱いと、綱吉は思った。
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