サンジの指がゾロの腰から尻のほうへと下りていく。
  筋肉質な双丘をするりと撫でられ、ゾロは自ら腰を浮かせた。サンジの指がすかさず谷間へと滑り込む。
「……慣れてるな」
  サンジが呟いた途端、ゾロの手ががしっ、と金色の髪を鷲掴みにした。
「てめぇっ……つっっ…──」
  サンジのほうが早かった。
  くい、と指をゾロの中に埋めると、サンジは素知らぬ顔で再び股間にむしゃぶりついていく。
  ゾロの股間には青臭い香りのものが滲んでいた。
  サンジはゾロの先端から溢れる白露を舌先で丁寧に嘗め取ってやる。焦らすように先端の括れを刺激すると、掠れた声が頭上で止めどなく溢れてくる。陸に上げられた魚のようにビクビクと打ち震える様は、サンジの胸に甘酸っぱい痺れのような感情を呼び起こす。
「──なあ、挿れてもいいか？」
  股間から顔を離すと、サンジは低い声で訊ねかけた。





  ゾロの中から指を引き抜く瞬間、きゅうっ、と締め付けが強くなった。
  指一本、それも中程までも入っていないというのに、食いちぎられそうなその締め付けに、サンジはにやりと口の端を歪める。
「欲求不満か……？」
  嬉しそうに言うと、身体の位置をずらしてゾロの太股に手を這わした。
  ゾロの膝の内側を、腕に乗せるようにしてすくい上げ、腰を押しつける。高ぶった二人のものが腹の間で擦れ、くちゅくちゅと淫猥な音を立てている。
「突っ込みたいんだろ、てめぇ」
  軽く息を荒げてゾロが言う。
「当然」
  そう言ったサンジの額には、汗の滴が浮き上がっている。ゾロもそうだ。二人とも、微かに汗ばんだ肌を互いに相手にぴたと寄せ合い、口づけを交わした。
  サンジは自分自身をゾロの尻へとなすりつけていく。指で軽く解した程度での挿入は難しいかもしれないが、二人ともそれどころではなかった。
  今すぐにでも、相手が欲しいのだ。
  どんな形であれ、たとえそれが相手を傷つけることになろうとも、構わない。
  サンジはゆっくりと腰を進めていった。





「ぅっ……くっ……」
  眉間に皺を寄せ、ゾロの後ろはサンジを飲み込んでいく。
  熱かった。
  まるで焼きごてで中を貫かれているようだと、ゾロは歯を食いしばった。
「おい……おい、力入れるんじゃねぇ」
  サンジの声が、遠くに聞こえる。
  ぼんやりとゾロが目を開けると、意外なほど優しいサンジの眼差しと目が合った。
「もうちょっと我慢しろよ」
  そう言われ、ゾロはこくりと頷いた。そうすることしかできなかった。ここで嫌だと叫んだところで、今さら引き返すことはできない。それは、サンジにも言えることだ。
「あっ…ぁあ……」
  ズルリ、とサンジが入ってくる。深いところをいきなり突き上げられ、軽い吐き気がした。内臓が迫り上がるような嫌な感覚に、ゾロはさらに顔をしかめる。
「いいところに当たったら、教えろよな」
  耳元でサンジの声がした。
  ゾロは片腕をサンジの首に回すと、ぶら下がるような格好でしがみついた。もう片方の手は柱を掴んでおり、時折、サンジが中を抉るのに併せて爪を立てている。
  挿入された入り口がひくついている。結合部のピリピリとした痛みは、皮膚が裂けた時の痛みだろう。ゾロはチッ、と舌打ちをする。床につけた片足までが痺れて、感覚がなくなってきていた。
「なあ……どこがいいんだ？」
  耳元でサンジが囁く。舌先でぬるりと耳たぶを湿らされ、ゾロは思わずサンジにしがみついてしまった。そうしなければ、危うくそのまま床に崩れ落ちていたところだ。
「……ふっ……ぁ……──」
  ずり落ちそうになるゾロを抱え上げたサンジは、小さく腰を揺さぶった。どこがいいのかゾロが言わないのならば、自分で探すまでだ。角度を変え、挿入の深さを変えながら、サンジはゆっくりと腰を蠢かす。
  内壁をこすり上げるとゾロの中がきゅっと締まった。それだけでなく、引き抜く瞬間の締め付けもなかなかのものだ。そんなことを考えていると、タン、とゾロの足が床を蹴った。
「はっ…ぅ……」
  すかさずサンジは空いていた方の手で二人の腹の間にあったゾロのものを握りしめた。
「頭ン中まで筋肉だらけの筋肉バカなのかと思ってたけど……案外、体力ねぇのな、お前」
  ゆるゆるとサンジが手を動かすと、ゾロは切ない喘ぎを洩らす。ゾロのものは反り返り、サンジの腹筋に寄り添いヒクついていた。しばらくはサンジのしたいようにさせていたゾロだったが、そのうちに柱に捕まっていた手を離すと、サンジの手の上から自分のものに触れた。ヌルリとした先端のぬめりを指で掬い取ると、サンジの口へと持っていく。
「嘗めろ」
  ぐい、とサンジの唇に指を押しつけたゾロは、挑発するかのように自分の指に舌を這わせる。早く嘗めろと、指で、舌で、眼差しで、サンジを誘っている。
  サンジは赤い舌でゾロの指を嘗めた。汗と、小水のにおいと、それからこういう時につきものの青臭いにおいが入り交じっていた。
  月の香りだ──と、サンジは思った。
「あっ、あぁっ……」
  僅かに腰を揺らした途端、ゾロが甲高い鼻に抜けるような声をあげた。
「ん？　ここか？　ここがいいんだな？」





  腹の間でゾロが白露を放つ。
  互いの腹に乳白色のドロリとしたものが飛び散り、サンジはそれを見て自分の身体の中心が震えるのを感じた。
「はっ、はっ……」
  ピストン運動が激しさを増し、その振動で抱え上げたゾロの足がずり落ちそうになっている。
「悪りぃ」
  呟いて、サンジはゾロの中に熱い塊を放った。
  二人ともそのころまでにすっかり息が上がっており、口をきく気にもなれないほどだった。