胸を弄っただけで獄寺の体はくたりとなって、ベッドに沈み込んでしまいそうになった。 ようやく綱吉は獄寺の腰から腕を外すと、今度はおとなしくなった体をゆっくりと堪能し始める。背中からゆっくりと唇を滑らせて、腰から尻を伝い下りる。太股の裏側に舌を這わせ、尻の狭間へと戻っていくと、戸惑うように獄寺の体が震えた。
「十代目、あのっ……」
「じっとしてて、獄寺君」
少しきつい口調で綱吉が言うと、獄寺は困ったように、それでも従順に綱吉の言葉に従う。やはり嫌なわけではないように見える。それとも、我慢しているだけなのだろうか。
「これから毎晩、こうやって後ろを慣らしてあげるよ」
少しずつだと、綱吉は自分に言い聞かせる。少しずつ、獄寺を慣らしていく。ゆっくりと時間をかけて、獄寺の体を男に抱かれる体に作り替えていくのだ。
我ながら矛盾している。好きなのに、大切にしたいのに、自分に縛りつけようとしている。こんなのは間違っているとわかっているのに、自分で自分を止めることができないのだ。
「獄寺君……」
名前を呼ぶと、獄寺は振り返って不安そうな眼差しを綱吉のほうへと向けてくる。
だが、なんと言えばいいのだろう。獄寺にかける言葉が、見つからない。
「獄寺君っ!」
小さく呻いた綱吉は、窄まった部分へと舌を押しつけた。
ピチャリ、と湿った音を立てて窄まった襞を押し広げるように舌を動かすと、獄寺の腰がフルッと震える。
「ぁ……」
押し殺した獄寺の声が、綱吉の耳に心地よく響く。
このまま強引に抱いてしまいたい。細っこい体を無理矢理に押さえつけて犯したい。そんなことを考えると、綱吉の股間へと熱が集まってくるのが感じられた。
「声……この間みたいに出してもいいよ」
からかうように声をかけてから綱吉は、ゆっくりと獄寺の尻の狭間に舌を差し込んでいく。
皺を伸ばすように、くすぐるように、舌先でチロチロと舐めると、獄寺の腰がカクカクと揺れる。気持ちいいのか、気持ち悪いのか、このままもっと触れてほしいのか、それともやめてほしいのか、なんとか言ってほしい。
いいや、もっとはっきりとした態度で綱吉を拒絶してくれるなら、安心して獄寺に触れることができるのに。
口先だけで可愛らしく嫌だと言うばかりで、その後は抵抗らしい抵抗もせず、できる限り綱吉の意に添うようにじっとしている獄寺に少しだけ腹が立った。
だけど、愛しくてたまらなくもある。
「今日はどこまでしようか?」
尋ねながら獄寺の窄まりの縁に、綱吉は指をかけた。
「……っ、……あ!」
唾液でたっぷりと濡らした窄まりに慎重に指を突き入れると、獄寺の体が強張った。
可哀想なぐらいにビクン、と大きく震えて、それから四つん這いになったままの姿勢でぐっと背中を丸める。
このままでは辛いだろうと綱吉は思った。
体を硬くして、綱吉の指に犯されるのを待つ獄寺の背中が可哀想でならない。
決して、傷つけたり痛い思いをさせたりしようと思っているわけではないのだ。
「力、抜いてごらん? できない?」
尋ねると、獄寺は小さく首を横に振った。
嫌だと一言、口にして、綱吉を突き飛ばしでもしてくれれば、自分はこれ以上、行為を進める気はない。獄寺が痛がったり嫌だと言ったなら、すぐにやめる気はあるのだ。なのに、ここへきて獄寺はそれを口にしなくなってしまった。
「力、抜ける?」
尋ねながらゆっくりと、獄での内壁を指の腹で擦り上げる。
クチュ、と音がするのは、さっき後ろを濡らした唾液の音だ。
「あ……ぁ」
丸めたままの獄寺の背中を、空いているほうの手でゆっくりとなぞった。唇でも同じように触れる。啜り泣くような艶めかしい獄寺の声が、唇の端から唾液と共に零れ落ちていく。
やっぱり、最後までするのは後日の楽しみにとっておいたほうがいいかもしれない。
今夜、このまま獄寺を抱いてしまったなら自分が後悔するだろう。獄寺にはもっと気持ちよくなってもらいたい。大切にされていると、実感してほしいのだ。
「前と後ろと一緒に触られると気持ちいいだろ?」
ほらね、と耳元で囁いて、白い背中に唇を押しつける。
クチュクチュと音を立てているのは、獄寺の後ろの狭い窄まりを犯す指がひっきりなしに動いているからだ。前のほうへと回した手で獄寺の性器を掴んだ。わずかに芯を持っていた竿をてのひらで握りしめ、大きく上下に動かしてやる。何度か扱いているうちに先端の割れ目に先走りが滲んでくると綱吉は、それを割れ目に塗り込め、押し戻すように爪の先で尿道口をカリカリと引っ掻いた。
「だめ……あっ……あ、あぁ……」
四つん這いになった体がビクビクと震える。
獄寺のほっそりとした竿を握る手は、零れ落ちた先走りでいつしか濡れていた。綱吉が手を動かすたびに、クチクチと湿った音がする。ちらりと見た獄寺の顔は辛そうにしかめられていたが、綱吉の手には感じているらしい。
「嫌だったらいつでも言うんだよ」
そう言って逃げ道を作ってやるのに、獄寺はそれには頑なに首を横に振るばかりだ。
綱吉を拒めば、実家への援助が止められたり、姉の幸せが取り上げられてしまうとでも思っているのだろうか。
まさか、ね。と、口の中で呟くと綱吉は、獄寺の腰骨のあたりに舌を這わせた。皮膚を甘噛みしてやると獄寺は、身を震わせて啜り泣く。
中学生という生き物は、どうしてこんなにも色っぽいのだろう。
指で獄寺の中を丹念に解してやった。
熱くて、狭くて。何かの拍子に壊してしまわないかと、綱吉は探るようにそっと内壁を擦り立てた。
痛くはない……と、思われた。
獄寺の前は今はもうすっかり勃起していて、先走りをダラダラと零している。ひっきりなしに唇から洩れる声は甘く掠れた声で、まるで綱吉を誘っているようにも聞こえる。
「ああ──」
低く、綱吉は呻いた。
このまま獄寺の中に、自分を埋めたかった。指を入れているだけでもはっきりと感じられる締めつけに、綱吉自身の体がますます高ぶってくる。きっとここに自分のものを入れたなら、気持ちいいこと間違いなしだろう。
挿入できないことに焦れて綱吉は、獄寺の前も後ろも激しく愛撫した。グチュグチュという湿った音が前と後ろのどちらから聞こえてくるのかもわからないほど執拗に擦り立て、扱き上げ、獄寺を啜り泣かせた。
「も、無理……」
唇をわななかせながら獄寺が泣きを入れてくるのが嬉しい。こんなに可愛い泣き顔を見せてくれる獄寺が、愛しくてたまらない。
「無理じゃないだろ」
囁きと一緒に耳の中に舌を差し込んでねっとりと舐め上げると、獄寺の後ろがきゅう、となって綱吉の指を締めつけてくる。
弱々しく首を横に振りながら獄寺は四肢を突っ張らせた。綱吉の指がきつく締めつけられる。奥へと指を飲み込もうとするかのように、内壁が収縮し蠢いた。
「ひっ……ん、んっ」
内壁の動きにあわせて綱吉が指をさらに奥へと潜り込ませる。指の付け根がひっかかって止まるところまで差し込み、ぐりぐりと内壁を擦るようにして指を回すと獄寺の張り詰めた前はヒクつきながらも新たな涎を垂らした。
「イッていいんだよ、獄寺君」
言いながら綱吉は、仕上げとばかりに指を大きく動かす。
「あ……イく……!」
綱吉の言葉に反応したかのように、獄寺は尻を突き出した。太股が引きつるようにピクピクとなっている。手の中で硬く反り返った性器を扱きながら綱吉は、獄寺の中をぐりぐりと擦った。前立腺のあたりの内壁を押し返すようにして指の腹で擦ると、呆気なく獄寺は果てた。
綱吉のてのひらの上になまあたたかい精液がドクドクと放出され、白く汚されていく。
「……すごいね。いっぱい出たよ」
そう言って綱吉は、手の中に受け止めた精液を獄寺の目の前へと持っていく。
「ほら」
差し出した手に獄寺は顔を寄せると、おもむろにその手をペロリと舐めた。
「ん……んっ……」
ぴちゃ、と音を立てながら獄寺は自らが放ったものを舐め取っていく。まだ獄寺の中に潜り込ませたままだった指を動かしてやると、感じるのか、ゆるやかに腰を揺らしている。
綱吉の手をきれいに舐め清めると獄寺は顔を上げた。
「……十代目は?」
最初、綱吉はなにを尋ねられているのかわからなかった。
イッたばかりで艶めかしい表情を浮かべる獄寺の顔にじっと見入っていると、彼は切なそうに眉を寄せた。
「十代目は、気持ちよくならなくてもいいんですか?」
ココ……と、獄寺が綱吉の股間に手を伸ばしてくる。
「こんなになってるのに、十代目はそのままでいいんスか?」
まだ、絶頂の余韻が残っている獄寺は、匂い立つような色香を放っている。汗と精液のにおいに混じってほんのりとボディソープの香りが残っている。
綱吉は自分の股間へと目をやり、ついで獄寺の目を覗き込んだ。
それから、はぁーっ、と深い溜息をつく。
帰宅したままでスーツの上を脱いだだけの格好で、自分は獄寺に恥ずかしい思いをさせてしまったのだ。これは失敗したと、綱吉はスラックスの前を開放し、下着の中から自分の性器を取り出した。
「……どうするか、わかる?」
綱吉の言葉に獄寺はコクン、と頷いた。
四つん這いの姿勢のまま、おずおずと綱吉の股間へ顔を寄せていく。その間にも獄寺の中に埋め込んだ綱吉の指は、やわやわと動いている。
「オレのを舐めて、気持ちよくさせてくれる?」
できるだろうか? 疑問に思いながら綱吉は声をかける。
獄寺は躊躇いがちに手を伸ばすと片綱吉の性器をそっと握りしめた。
胡座をかいてベッドに座る綱吉の膝に上体を預けるような姿勢で、顔を下ろす。綱吉のペニスの先端を、獄寺の赤い舌がペロリとひと舐めする。
それだけで綱吉の股間は硬く張り詰め、割れ目には先走りがじわりと滲み出てきた。
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